出来心

徳川家康の近習から出世した、近江の膳所藩主、戸田氏鉄がある時、娘婿であり当時、再建なって間もない大阪城代を勤めていた板倉重宗に使いを出した。

ここでお控えを、と使者が言われた大阪城の広間には、たくさんの大砲が展示されていた。

この使者の男、それを見てどうしても試してみたくなったのであろう、大砲の砲口に、頭を突っ込んでみた。すっぽりと入った。
とりあえず満足したので頭を出そうとした。出そうとした。出そうとした。出ない。

義父の使者が、いくら呼んでもさっぱりやってこないのを怪しんだ板倉重宗が広間に行ってみると、


大変なことになっていた。


「誰か、誰かある!?」

城中のものたちが集まり、大砲に頭突っ込んでじたばたしている使者の体をかわるがわる引っ張ったが、抜けない。
「無理に引っ張ると死ぬかも…」
どうにもならないので、とりあえず戸田氏鉄にこのことを通報した

「あの馬鹿者め!!!!」
戸田氏鉄、激怒。そりゃそうである。「あああ、わしは三国一の馬鹿を使者に立ててしまった…」
あまりの恥ずかしさにうなだれる戸田氏鉄に、家臣たちは、「しかし、いかがしましょう?」と
お伺いを立てるが、氏鉄

「死んでも構わん!首ごとひっこ抜いて参れ!!!!」

重臣一人に屈強の足軽4,50人をつけて大阪城に急行させた。
大阪城で彼らが見た物は、折り目正しく裃をつけ正装し、大砲に頭を突っ込んでいる使者。
困り果てた顔をしている板倉重宗。
くすくす笑っている板倉家臣。
戸田家の皆さん、穴があったら入って埋めたい心境である。
彼らはその憤りを、大砲に嵌っている馬鹿にぶつけた

「えいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

使者の体は物凄い勢いで引っ張られ、異様に伸びた!「ちぎれる?」と、思った瞬間


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抜けた。耳も鼻も擦り切れ顔は傷だらけであったが、ともかくも命だけは助かった。


この使者の男、膳所に連れ帰ったが、戸田氏鉄は「こんな馬鹿、処罰する値打ちすらない」と、髪も髭もそり落とし、ふんどしまで剥ぎ取って、丸裸で追放した。
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