親父とのツーリング

大学生の時に免許を取ってバイクを買った。
下宿先からバイクで帰省。疲れて果てて寝て起きたらバイクが無い・・・
母に聞けば「お父さんが乗って行ったわよ」と。昔無断で親父のスキー板を借りた時は烈火の如く怒ったのに勝手な・・・なんて思ってた。
(親父は高校時代にバイクに乗ってて、事故って意識不明の重体になった事があるとかで、子供全員が高校を卒業するまでは、と母が止めていたらしい)
その頃は好き勝手やって家族を顧みず、家に居ればいつも不機嫌な親父の事が大嫌いだった。

それから暫くして俺は大学を卒業。リーマンショックの影響で内定取り消しをくらい実家へ出戻ったんだ。
そんな折、友人からバイクを預かって欲しい出来れば乗って欲しいと言われた。俺は自分のバイクがあったから親父に聞いてみたんだ。「乗ってくれるなら引き上げてくるけどどうする?」って。
親父は一も二もなく預かってやれ、と言うから軽トラで友人のホーネットを引き上げ、親父のバイク生活は再び始まった。
そこからみるみる人が変って、俺ともなにかしら関わろうとするし、休日に母親を誘ってどこかへ出かけたりもするようになった。(今までそんな事は一度も無かったんだ)

それから1年程して俺もなんとか就職先を見つけて、家を出て働くようになった。
R1を買った、と親父から連絡が来たのは今年の1月の話。
親父はその時「お前がずっと大型乗りたがってたのは知ってる。大学出てからちゃんと金入れてるんだから、就職もしたんだし欲しいバイクがあるなら買え。保証人くらいにはなってやる」って言ってくれた。
俺は数ヶ月悩み悩んでS1000RRを買う事に決めたんだ。親父は定期的に「決まったか?」と連絡をしてくるので車種を伏せてBMを買う、とだけ伝え7月末のじーちゃんの法事にバイクで帰って自慢しよう、なんて思ってた。
納車は7/2。納車の日は凄くいい天気で、初めての大型、SS、しかもBMって事で気分も最高なまま慣らしツーリングに出かけたんだ。

けど、その道中で親父が事故で亡くなったって連絡。反対車線をまたいで店に入ろうとした車にはねられたらしい。
喪主だったのもあって通夜告別式とあっという間に過ぎて行ったんだけど、その数日で親父のツーリング友達が沢山声をかけてくれた。

つい先日、俺も昔からよく知ってる親父の友達から電話がかかってきた。
「親父さんは君のバイクを凄く楽しみにしてた。普通は子供が親よりいいもんにのるってなれば機嫌を損ねてもおかしくない。まして親父さんはそういう性格だしな(笑)でも、君とまたツーリングするのを凄く楽しみにしていたみたいだよ」
って。
親父の事故は状況を聞く限り絶対に回避出来なかったと思う。俺はまだ独り身だけど、親兄弟居るし、この先バイクを降りるかもずっと考えてた。
この人の電話で、親父の分まで走らなきゃって思ったんだ。
俺はまだ一度も親父のR1を見てない。親父にもS1000を見せてない。お互いに親子じゃなくて、バイク乗り同士として自慢話をしたりバイクを交換したり、もっといろいろしたかった。親父だって女ばっかりの家じゃバイクの話なんて出来んの俺しかいないしさ。

乗り続ける事を決めた俺のバイクの鍵には親父のR1の鍵がついてる。
自慢とか、交換は出来ないけど、親父と一緒に今日もツーリングしてきたんだ。
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