俺には友達なんかいない

GW、一人でイタリアへ行ってきた
何の感慨も受けない 何にも気付かない 心にゆとりがないからだろう
夜更けまでカフェで、一人すねてふてくされたように、立ち飲みで酒をかっ喰らっていた
でっかい白人男が、いきなり肩を組んできた
やべ
イタリアの夜は決して治安良くないんだっけ・・・

すると女が、何してんのよ馬鹿!といった調子で、男を止めに入る
語調から察するにロシア語だ
「おまえは俺の友達だよな?」
片言の英語で、酔っぱらったロシア男が言ってくる
「あぁ友達だ。たぶん」答える
連れの女は悶着にならなかったことに一安心したのか、ニッコリする
ニッコリして、いきなり古いマドンナの曲を歌い始める
おまえも完全に出来上がってるじゃねえか
男、俺のつまみに手を出す 女も手を出す フツーに食ってんじゃねえ・・・
そして男も、よく分からない歌を歌い始める

これはちょっとマズイなと判断し、コペルト(席料)を払うことにして、3人でソファーに移動
あいかわらず歌う2人
ヤケクソで俺も、一緒に歌ったり、コーラス入れてみたり、
エルトン・ジョンやビリー・ジョエルといった、ワールドワイドな歌を歌いだす
そういえばロシアやイタリアにはカラオケボックスはないのだろうか、などと思いながら
ボーイや他の客は、あきれた顔で眺めてる

たくさんの話を片言英語で交わしたが、記憶に残るようなまとまった話はない
3人で肩組んで写真を撮る
閉店で追い出されるまで飲んだくれた

別れ際
「ガスパージン!スパシーバ!my dear friends!」
ロシア語なんて知らないが、どちらかが「さようなら」で、どちらかが「ありがとう」だった気がするので、そう言ってみた
男"Good bye friend!"
女"Bon boyage!"
俺「節子、それはフランス語や!」
女、俺の日本語を無視して、両手を唇に思いっきりあてて、盛大な投げキッスを俺に送る

帰国後、写真を現像してみる
ものすごい馬鹿ヅラした3人が、豪快な笑顔で映ってる

俺には友達なんかいない 一人だっていない
こいつらの名前だって知らない
だけどスタンドに立てたその写真を見るたび、ほんの少しだけ滋養を感じ、
ほんの少しだけ温かな気持ちになれる
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