名を聞かせ給え

加賀120万石の礎を築いた名君として名高い前田利常の家臣、平野弥次右衛門の従者に五右衛門という人物がいた。

大坂夏の陣の際、真田丸を攻めていた弥次右衛門は鉄砲隊に照準を合わせられた。
いち早く気づいた五右衛門は主君の前に立ちふさがり、十八発もの銃弾を全身に浴びてしまう。
だが五右衛門は倒れずそれどころか「なんのこれしき、かすり傷でござる!」と笑い捨てた。
合戦は一時中断、五右衛門の剛気に感銘を受けた真田丸の兵達は、「名を聞かせ給え」と五右衛門に声をかけた。

ところが五右衛門は押し黙り困惑した。下人に過ぎない五右衛門は姓を許されていなかったからだ。
これを見た主人の平野弥次右衛門はすかさず「我が姓をつかわす!」と大声で言った。

これを聞き五右衛門は渾身の力を振り絞り叫んだ。
「我こそは平野弥次右衛門が下人、五右衛門なり!
これまで御供したる褒美としてたった今姓を賜り、平野五右衛門となり申した!」
血の霧を吹き出しながら言い終え、崩れ落ちた平野五右衛門の死に顔は微笑んでいたという。

静まり返った両軍からやがて平野五右衛門を称える槍や箙を打ち鳴らす音がいつまでも続いていた。

400年ほど前の日本には男達がいた。
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