ここに三本の矢があるじゃろ?

毛利元就は仲の悪い息子達を城に呼んだ。

「お前達はなぜそんなに仲が悪いんだ。今日はおまえ達に結束がどれだけ大事か話をしてやろう。まずこの一本の矢を折…やめろ!いいか、まずこの一本の…や~め~ろ!
喧嘩をするんじゃないよまったく…。この一本っちょっやめろ!
この一…隆元やめなさい!いいかい、いま大事な話を…ちょっおまっや~め~ろ!
とにかくこの一本のって、こら元春、矢で叩くじゃないよ!隆景も泣くんじゃないよ。
いいかいこの一本の矢を…やめなさい。こらこらそっちの矢は触るじゃないよ、父さんの話しを聴きなさっ ちょ やめなさい!そっちの矢はまだ折るじゃないよ。あっ こらや~め~ろ」
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「ピストルやった。初めて見た」

もう二十年以上前の、私が小学校低学年だった頃の話。
父には年の離れた弟がいて、私も弟もおじさんの事がお兄さんみたいな感じで大好きだった。

ある晩、夜中にトイレに起きたら、なぜか茶の間におじさんと寝間着姿の両親がいて、低い声でなにか話し合っていた。おじさんは無精髭が伸びていて、すごく怖い顔をしていた。
大人の話を邪魔すると怒られるので、私は「いらっしゃい」と挨拶だけして部屋に戻った。
だけど両親たちの話が気になったので、襖を少しだけ開けて、こっそり聞いていた。
おじさんが低い声でなにか叫んだ。
父の声。「おい、そげなもん、しまえ!」
続いて母の声。「○○(おじさんの名前)さん、そんなことしたらいけんよ!いけんよ!」
その後も低い声で言い争いは続いた。
声の調子から只事じゃないのはわかったが、子供なんでいつの間にか眠ってしまった。
でも翌朝、父も母も何も言わなかったから「もしかして夢だったかも?」ぐらいに思っていた。

おじさんは近所に住んでいて、よくうちに晩御飯を食べに来ていたけど、その晩からはなぜかうちに顔を出すことはなくなった。

おじさんがどういう状況なのかわかったのは、それから1ヶ月ぐらいしてから。
当時のテレビで、警察の指名手配犯の写真と名前を流す5分ぐらいの番組をやっていて、ある土曜日に母と私と弟でお昼を食べていたら、テレビの画面ににっこり笑ってるおじさんの顔と、名前がドーンと…。

おじさんはヤクザみたいな悪い仲間と銀行強盗をやらかして、指名手配されていた。
その事件は地元の新聞にも結構大きく報道されていて、私も読んだ覚えがあった。

母が慌ててテレビを消した。その様子を見たらもう何も聞けなかったが、子供心にもおじさんが悪いことをして警察に指名手配されているのはわかった。
刑事ドラマは見てたけど、自分の知っている人がそんな大変な事になったと聞いても、なんだか現実という感じがしなかった。

今年のGWに帰省して、親子3人(父はすでに故人です)で飲んだ時に、ふとその頃のことを思い出して、あの夜のことについて軽い調子で聞いてみた。
ほろ酔いだったせいもあって、母はぽつりぽつり語ってくれた。以下、母の話。

事件が起きたすぐ後に刑事さんが家に来て、父と母は事件のことを知った。
それから10日ほど経ったあの夜、おじさんは確かに家に来ていた。
おじさんは仲間と仲違いしたのか、お金も何も持っていなかった。
父と母は自首しろと説得したが、おじさんは絶対に嫌だ、海外に逃げるからしばらく匿ってくれ、それからお金(逃走資金?)も用立ててくれと頼んできた。

父と母が絶対に駄目だ、付いて行ってやるから警察に行こうと断ると、おじさんはカバンから何かを取り出した。
母いわく「ピストルやった。初めて見た」。
おじさんはもうギチギチに思いつめちゃっていて、
「いいからカネ出せ!カネを出してくれんとやったら、これで兄貴も(母)さんも(私)ちゃんも(弟)くんもみんなぶっ殺して、俺も死んでやるけんな!」と迫った。
私が聞いた冒頭の会話は、ちょうどその時のものだったらしい。
母は途中で「お茶を入れる」といって台所に行き、出刃包丁をずっと懐に隠し持っていたそうだ。おじさんが父や私や弟に何かしようとしたら、刺し違える気だったと。

父と母が明け方まで必死に説得して、おじさんは自首すると約束して家を出たけど、結局自首はせず逮捕もされなかった。
父が死ぬ前に「夢にアイツが出てきて泣きながら謝っていた、アイツは死んだと思う」
って母に言ったことがあったらしいけど、その後おじさんがどうなったかわからない。

私も弟も後で知って仰天した修羅場。

非情なる者

友人と将棋をしていたら、友人の子供が 「カナブンはどこにでもいける最強の駒だよ!」 と盤面に置いてきたので、歩で叩き潰してゴミ箱に捨てた

猫をぬくい部屋に移動させた

今日、雪が降った。
非常に寒い。
ストーブを点けて部屋をぬくくして過ごした。

ふと、愛猫が暖房の無い二階で寝ていることを思い出した。
二階に行き、キャットハウスの中を確認すると愛猫は熟睡していた。
寒かろうと、ハウスごと猫をぬくい部屋に移動させた。

それから1時間ほど経った頃、猫が起きだしてきた。
ハウスから出て、伸びをして、あくびをして、
そして唐突に「うなうなうあ!?」と声を上げて焦った様子で辺りをキョロキョロ見回した。
寝ているうちに部屋が変わったことに驚いたらしい。
事態を飲みこめず呆然とする猫の顔に、ちょっと萌えた。

血液検査

血液検査で肝臓の数値がやや高かったときに肝炎を疑われて医者に最近なにか性交渉がありましたかと聞かれたんで、「童貞です」と素直に言ったら横の看護婦がこらえきれないように顔を隠して笑いだしたときのことが忘れられん。
ちなみに単なるメタボでした。

えらいぞ、トンボ。

以前アメリカで働いていたときのこと。
隣の席のウクライナ人が「消しゴム貸して」と言ってきた。
日本から持ってきていた「MONO消し」を、はいよ、と渡した。
ら、本当に2秒後くらいに「ひぃっ」と悲鳴が。
「めちゃめちゃ消える!!」と大興奮。

「これ、使いかけでいいから売ってくれ」と言う。
偶然もう一個新品があったので「んじゃこれあげるよ」と言うと
「いや、それは申し訳ない、買う」と言う。
じゃぁと75セントで売ると大喜びで友達に自慢しに行った。

えらいぞ、トンボ。
日本製品は消しゴムに限らず蛍光ペンも大人気だった。

妹の子供の名前

うちの妹の話です。
妹はいかにも現代のギャルDQNで(中身は真面目)出産前もまとめサイトに出てくるようなうへぇ('A`)な名前しか考えてなかった。
しばらくして、電話がかかってきて生まれたとの報告。恐る恐る名前を聞くと
妹「……梨奈(りな)にした。」私「えっ!?なんで??白雪とか姫華とか考えてたじゃん。」
妹「あのさぁ、同じ病室にウチより3日前に生んだ人がいたの。その人の子供の名前聞いたのね、そしたら何だったと思う?可愛子姫(かわいこ)ちゃんだよ?」
私「wwwwwwwwww」
妹「姫は置き字でーす☆とかさ、もう馬鹿じゃん?しかも言っちゃ悪いけど名前負け確実っぽいし。それで一気に冷静になって考え直したよ。姉ちゃんに言われたとおりこっちのが全然いいよ、ありがと。」
可愛子姫ちゃんには悪いけどちょっと感謝しますた。

いい加減バリエーションを変えて!

実家に電話する度に、「山田です」だの「伊藤です」だのと偽名を名乗る父。
それが一年も続いたので「いい加減バリエーションを変えて」と言ったら、次に電話した時に

「フランソワです」

ツボにハマりまくった自分に腹が立った。
バリエーションはその…名前じゃなく…出るときのさ…まぁいいや。

ついでにもう一個。
うちの母はカタカナ語が苦手。すぐに噛む。
「ビーフストロガノフ」は「びーふしゅとらがごふ」
「デオキシリボ核酸」は「べぼれふにおじゃぐさん」
という具合にめちゃくちゃ。それを父が面白がり何度も言わせる。
そのうち母が怒り父に言えと要求。だが父は歳の割りに機械にも強くすらすらと発音。母が悔しがる中、父得意そう。
あまりに父が偉そうだったので、唐突に
「モバイルナンバーポータビリティって言ってよ」と振ったところ、鼻の穴を膨らませながら

「よし!今驚かせてやるからな!…モビャッ…」

ああ、驚いたよ。つうか出オチかよ父ちゃん。しかも舌噛んでるし。
こんな親父は酔うと必ず愛犬を電話口に出す。これだけはちょっと困ってる。

ガソリン満タン

「満タンでアルミホイル進呈!」の看板につられて満タンにしたんだよ
そしたら台所用だったわ

TSUTAYAの店員

「DVDどこですか?」って聞いたら
「アダルトはあちらです」って言われた
失礼すぎるだろ

一杯のかけそば

この物語は、今から35年ほど前の12月31日、札幌の街にあるそば屋「北海亭」での出来事から始まる。

そば屋にとって一番のかき入れ時は大晦日である。
北海亭もこの日ばかりは朝からてんてこ舞の忙しさだった。
いつもは夜の12時過ぎまで賑やかな表通りだが、夕方になるにつれ家路につく人々の足も速くなる。
10時を回ると北海亭の客足もぱったりと止まる。

頃合いを見計らって、人はいいのだが無愛想な主人に代わって、常連客から女将さんと呼ばれているその妻は、忙しかった1日をねぎらう、大入り袋と土産のそばを持たせて、パートタイムの従業員を帰した。

最後の客が店を出たところで、そろそろ表の暖簾を下げようかと話をしていた時、入口の戸がガラガラガラと力無く開いて、2人の子どもを連れた女性が入ってきた。
6歳と10歳くらいの男の子は真新しい揃いのトレーニングウェア姿で、女性は季節はずれのチェックの半コートを着ていた。

「いらっしゃいませ!」

と迎える女将に、その女性はおずおずと言った。

「あのー……かけそば……1人前なのですが……よろしいでしょうか」

後ろでは、2人の子ども達が心配顔で見上げている。

「えっ……えぇどうぞ。どうぞこちらへ」

暖房に近い2番テーブルへ案内しながら、カウンターの奥に向かって、

「かけ1丁!」

と声をかける。

それを受けた主人は、チラリと3人連れに目をやりながら、

「あいよっ! かけ1丁!」

とこたえ、玉そば1個と、さらに半個を加えて茹でる。
玉そば1個で1人前の量である。
客と妻に悟られぬサービスで、大盛りの分量のそばが茹で上がる。
テーブルに出された1杯のかけそばを囲んで、額を寄せあって食べている3人の話し声がカウンターの中までかすかに届く。

「おいしいね」

と兄。

「お母さんもお食べよ」

と1本のそばをつまんで母親の口に持っていく弟。

やがて食べ終え、150円の代金を支払い、

「ごちそうさまでした」

と頭を下げて出ていく母子3人に、

「ありがとうございました! どうかよいお年を!」

と声を合わせる主人と女将。

新しい年を迎えた北海亭は、相変わらずの忙しい毎日の中で1年が過ぎ、再び12月31日がやってきた。
前年以上の猫の手も借りたいような1日が終わり、10時を過ぎたところで、店を閉めようとしたとき、ガラガラガラと戸が開いて、2人の男の子を連れた女性が入ってきた。
女将は女性の着ているチェックの半コートを見て、1年前の大晦日、最後の客を思いだした。

「あのー……かけそば……1人前なのですが……よろしいでしょうか」

「どうぞどうぞ。こちらへ」

女将は、昨年と同じ2番テーブルへ案内しながら、

「かけ1丁!」

と大きな声をかける。

「あいよっ! かけ1丁」

と主人はこたえながら、消したばかりのコンロに火を入れる。

「ねえお前さん、サービスということで3人前、出して上げようよ」

そっと耳打ちする女将に、

「だめだだめだ、そんな事したら、かえって気をつかうべ」

と言いながら玉そば1つ半を茹で上げる夫を見て、

「お前さん、仏頂面してるけどいいとこあるねえ」

と微笑む妻に対し、相変わらず黙って盛りつけをする主人である。
テーブルの上の、1杯のそばを囲んだ母子3人の会話が、カウンターの中と外の2人に聞こえる。

「……おいしいね……」

「今年も北海亭のおそば食べれたね」

「来年も食べれるといいね……」

食べ終えて、150円を支払い、出ていく3人の後ろ姿に

「ありがとうございました! どうかよいお年を!」

その日、何十回とくり返した言葉で送り出した。

商売繁盛のうちに迎えたその翌年の大晦日の夜、北海亭の主人と女将は、互いに口にこそ出さないが、九時半を過ぎた頃より、そわそわと落ち着かない。
10時を回ったところで従業員を帰した主人は、壁に下げてあるメニュー札を次々と裏返した。

今年の夏に値上げして「かけそば200円」と書かれていたメニュー札が、150円に早変わりしていた。
2番テーブルの上には、すでに30分も前から「予約席」の札が女将の手で置かれていた。

10時半になって、店内の客足が途切れるのを待っていたかのように、母と子の3人連れが入ってきた。
兄は中学生の制服、弟は去年兄が着ていた大きめのジャンパーを着ていた。
2人とも見違えるほどに成長していたが、母親は色あせたあのチェックの半コート姿のままだった。

「いらっしゃいませ!」

と笑顔で迎える女将に、母親はおずおずと言う。

「あのー……かけそば……2人前なのですが……よろしいでしょうか」

「えっ……どうぞどうぞ。さぁこちらへ」

と2番テーブルへ案内しながら、そこにあった「予約席」の札を何気なく隠し、カウンターに向かって

「かけ2丁!」

それを受けて

「あいよっ!かけ2丁!」

とこたえた主人は、玉そば3個を湯の中に放り込んだ。

2杯のかけそばを互いに食べあう母子3人の明るい笑い声が聞こえ、話も弾んでいるのがわかる。

カウンターの中で思わず目と目を見交わしてほほ笑む女将と、例の仏頂面のまま「うん、うん」と頷く主人である。

「お兄ちゃん、淳ちゃん……今日は2人に、お母さんからお礼が言いたいの」

「……お礼って……どうしたの」

「実はね、死んだお父さんが起こした事故で、8人もの人にけがをさせ迷惑をかけてしまったんだけど……保険などでも支払いできなかった分を、毎月5万円ずつ払い続けていたの」

「うん、知っていたよ」

女将と主人は身動きしないで、じっと聞いている。

「支払いは年明けの3月までになっていたけど、実は今日、全部支払いを済ますことができたの」

「えっ! ほんとう、お母さん!」

「ええ、本当よ。お兄ちゃんは新聞配達をして頑張ってくれてるし、淳ちゃんがお買い物や夕飯の支度を毎日してくれたおかげで、お母さん安心して働くことができたの。よく頑張ったからって、会社から特別手当を頂いたの。それで支払いを全部終わらすことができたの」

「お母さん!お兄ちゃん!よかったね!でも、これからも、夕飯の支度はボクがするよ」

「ボクも新聞配達、続けるよ。淳!がんばろうな!」

「ありがとう。ほんとうにありがとう」

「今だから言えるけど、淳とボク、お母さんに内緒にしていた事があるんだ。それはね……11月の日曜日、淳の授業参観の案内が、学校からあったでしょう。……あのとき、淳はもう1通、先生からの手紙を預かってきてたんだ。
淳の書いた作文が北海道の代表に選ばれて、全国コンクールに出品されることになったので、参観日に、その作文を淳に読んでもらうって。先生からの手紙をお母さんに見せれば……無理して会社を休むのわかるから、淳、それを隠したんだ。そのこと淳の友だちから聞いたものだから……ボクが参観日に行ったんだ」

「そう……そうだったの……それで」

「先生が、あなたは将来どんな人になりたいですか、という題で、全員に作文を書いてもらいましたところ、淳くんは、『一杯のかけそば』という題で書いてくれました。
これからその作文を読んでもらいますって。

『一杯のかけそば』って聞いただけで北海亭でのことだとわかったから……淳のヤツなんでそんな恥ずかしいことを書くんだ! 
と心の中で思ったんだ。

作文はね……お父さんが、交通事故で死んでしまい、たくさんの借金が残ったこと、お母さんが、朝早くから夜遅くまで働いていること、ボクが朝刊夕刊の配達に行っていることなど……ぜんぶ読みあげたんだ。

そして12月31日の夜、3人で食べた1杯のかけそばが、とてもおいしかったこと。
……3人でたった1杯しか頼まないのに、おそば屋のおじさんとおばさんは、ありがとうございました! どうかよいお年を!
って大きな声をかけてくれたこと。
その声は……負けるなよ! 頑張れよ! 生きるんだよ! 
って言ってるような気がしたって。

それで淳は、大人になったら、
お客さんに、頑張ってね! 幸せにね!って思いを込めて、ありがとうございました! 
と言える日本一の、おそば屋さんになります。
って大きな声で読みあげたんだよ」

カウンターの中で、聞き耳を立てていたはずの主人と女将の姿が見えない。
カウンターの奥にしゃがみ込んだ2人は、1本のタオルの端を互いに引っ張り合うようにつかんで、こらえきれず溢れ出る涙を拭っていた。

「作文を読み終わったとき、先生が、淳くんのお兄さんがお母さんにかわって来てくださってますので、ここで挨拶をしていただきましょうって……」

「まぁ、それで、お兄ちゃんどうしたの」

「突然言われたので、初めは言葉が出なかったけど……皆さん、いつも淳と仲よくしてくれてありがとう。……弟は、毎日夕飯の支度をしています。それでクラブ活動の途中で帰るので、迷惑をかけていると思います。
今、弟が『一杯のかけそば』と読み始めたとき……ぼくは恥ずかしいと思いました。
……でも、胸を張って大きな声で読みあげている弟を見ているうちに、1杯のかけそばを恥ずかしいと思う、その心のほうが恥ずかしいことだと思いました。あの時……1杯のかけそばを頼んでくれた母の勇気を、忘れてはいけないと思います。
……兄弟、力を合わせ、母を守っていきます。……これからも淳と仲よくして下さい、って言ったんだ」

しんみりと、互いに手を握ったり、笑い転げるようにして肩を叩きあったり、昨年までとは、打って変わった楽しげな年越しそばを食べ終え、300円を支払い

「ごちそうさまでした」

と、深々と頭を下げて出て行く3人を、

主人と女将は1年を締めくくる大きな声で、

「ありがとうございました! どうかよいお年を!」

と送り出した。

また1年が過ぎて――。

北海亭では、夜の9時過ぎから「予約席」の札を2番テーブルの上に置いて待ちに待ったが、あの母子3人は現れなかった。

次の年も、さらに次の年も、2番テーブルを空けて待ったが、3人は現れなかった。

北海亭は商売繁盛のなかで、店内改装をすることになり、テーブルや椅子も新しくしたが、あの2番テーブルだけはそのまま残した。

真新しいテーブルが並ぶなかで、1脚だけ古いテーブルが中央に置かれている。

「どうしてこれがここに」

と不思議がる客に、

主人と女将は『一杯のかけそば』のことを話し、このテーブルを見ては自分たちの励みにしている、いつの日か、あの3人のお客さんが、来てくださるかも知れない、

その時、このテーブルで迎えたい、と説明していた。
その話が「幸せのテーブル」として、客から客へと伝わった。
わざわざ遠くから訪ねてきて、そばを食べていく女学生がいたり、そのテーブルが、空くのを待って注文をする若いカップルがいたりで、なかなかの人気を呼んでいた。

それから更に、数年の歳月が流れた12月31日の夜のことである。北海亭には同じ町内の商店会のメンバーで家族同然のつきあいをしている仲間達がそれぞれの店じまいを終え集まってきていた。
北海亭で年越しそばを食べた後、除夜の鐘の音を聞きながら仲間とその家族が揃って近くの神社へ初詣に行くのが5~6年前からの恒例となっていた。

この夜も9時半過ぎに、魚屋の夫婦が刺身を盛り合わせた大皿を両手に持って入って来たのが合図だったかのように、いつもの仲間30人余りが酒や肴を手に次々と北海亭に集まってきた。

「幸せの2番テーブル」の物語の由来を知っている仲間達のこと、互いに口にこそ出さないが、おそらく今年も空いたまま新年を迎えるであろう「大晦日10時過ぎの予約席」をそっとしたまま、窮屈な小上がりの席を全員が少しずつ身体をずらせて遅れてきた仲間を招き入れていた。

海水浴のエピソード、孫が生まれた話、大売り出しの話。
賑やかさが頂点に達した10時過ぎ、入口の戸がガラガラガラと開いた。

幾人かの視線が入口に向けられ、全員が押し黙る。

北海亭の主人と女将以外は誰も会ったことのない、あの「幸せの2番テーブル」の物語に出てくる薄手のチェックの半コートを着た若い母親と幼い二人の男の子を誰しもが想像するが、入ってきたのはスーツを着てオーバーを手にした二人の青年だった。

ホッとした溜め息が漏れ、賑やかさが戻る。

女将が申し訳なさそうな顔で

「あいにく、満席なものですから」

断ろうとしたその時、和服姿の婦人が深々と頭を下げ入ってきて二人の青年の間に立った。
店内にいる全ての者が息を呑んで聞き耳を立てる。

「あのー……かけそば……3人前なのですが……よろしいでしょうか」

その声を聞いて女将の顔色が変わる。

十数年の歳月を瞬時に押しのけ、あの日の若い母親と幼い二人の姿が目の前の3人と重なる。

カウンターの中から目を見開いてにらみ付けている主人と今入ってきた3人の客とを交互に指さしながら

「あの……あの……、おまえさん」

と、おろおろしている女将に青年の一人が言った。


「私達は14年前の大晦日の夜、親子3人で1人前のかけそばを注文した者です。
あの時、一杯のかけそばに励まされ、3人手を取り合って生き抜くことが出来ました。その後、母の実家があります滋賀県へ越しました。私は今年、医師の国家試験に合格しまして京都の大学病院に小児科医の卵として勤めておりますが、年明け4月より札幌の総合病院で勤務することになりました。その病院への挨拶と父のお墓への報告を兼ね、おそば屋さんにはなりませんでしたが、京都の銀行に勤める弟と相談をしまして、今までの人生の中で最高の贅沢を計画しました。
それは大晦日に母と3人で札幌の北海亭さんを訪ね、3人前のかけそばを頼むことでした」

頷きながら聞いていた女将と主人の目からどっと涙があふれ出る。

入口に近いテーブルに陣取っていた八百屋の大将がそばを口に含んだまま聞いていたが、そのままゴクッと飲み込んで立ち上がり

「おいおい、女将さん。何してんだよお。10年間この日のために用意して待ちに待った『大晦日10時過ぎの予約席』じゃないか。ご案内だよ。ご案内」

八百屋に肩をぽんと叩かれ、気を取り直した女将は

「ようこそ、さあどうぞ。 おまえさん、2番テーブルかけ3丁!」

仏頂面を涙でぬらした主人、

「あいよっ! かけ3丁!」

期せずして上がる歓声と拍手の店の外では、先程までちらついていた雪もやみ、新雪にはね返った窓明かりが照らしだす『北海亭』と書かれた暖簾を、ほんの一足早く吹く睦月の風が揺らしていた。

猫は凄いよ…

施設に勤める母が
「虐待から保護されたけど、精神的な傷が深くて誰とも喋らず目も合わせてくれず、自分から他者に関わる事が全く出来なくなった男の子が、職員が拾って来た子猫にじゃれつかれた途端に初めて笑った時は職員一同泣いた。
それから段々人間にも心開いてくれるようになって、学校に行くようになり、友達も出来て見る見る元気になった。一応プロの私達が出来ない事をじゃれつくだけでやってのける。猫は凄いよ…」
と言っていた。
本当猫に限らず、動物って何かしらそういう力があるんだろうなあ。

サービス期間は終ったのさ

甥っ子(小1)と遊ぶ際、必然的に私は悪役なので
「フン、バカめ!そのレベルで俺に叶うと思うか」とやっていた所、姉に「真似しちゃうから言葉は丁寧に」と注意された。
なので丁寧語で「ふふ、おバカさんですね…この私に歯向かうとは」と言うようにしたら、夫にフリーザ様とあだ名をつけられた。

ちゃうねん

タイトルが「私の家来ちゃいますか?」ってスパムメールきて
「いやいや家来じゃねーよww」って思ったけどよく考えたら訓読みだったパターン

デザインは髑髏型

そういやコロコロの付録の4コマでネタにされたな>コナンの事件遭遇率の高さ
内容はうろ覚えだけど、コナンが読者からの質問に答えるって形式で

1
コナン「『コナン君のシュートは何であんなに威力があるんですか?』いい質問だね。」

2
コナン「この『キック力増強シューズ』を使っているからさ!!」

3
コナン「次は『コナン君はなんであんなに事件に遭遇するんですか?』これもいい質問だね。」

4
コナン「この『殺人事件遭遇ネックレス』を使っているからさ!!」
阿笠博士「そんなもん作った覚えは無いぞ!!」

ババはキタの町出身

アパートの階下から、母と泣いてる子

子「いやああー!!!!行くー!!!」
母「すぐだから待っててね、すぐだから」
子「いやだあああああああああ」
母「あんまりワガママ言ってると、ババが踊るよ!」
子「……いやだあああああああああああ」(一層激しく泣き出す)


ババの踊りが気になるんですが

久しぶりに一人だから

子はお泊まり保育で旦那は出張。
久しぶりに一人だから好き勝手するぜー!とか思ってたけどなぜか何もする気にならない。
妊娠中だから晩御飯作らなくていいのとか凄く助かるけど、ぶっちゃけ寂しいとかわがままだなー自分w
家に一人だとこんなに寂しいんだね。
「母ちゃん困ったら呼んでね!」って、息子が置いていってくれた糸電話を枕元に置いて寝よう。
息子も旦那も無事に帰ってこーい!

ブラッシング

猫の毛が夏毛に生え変わり始めのころ、抜けた毛が嫌いな父が猫を熱心にブラッシングしていた。
その一週間後あたりに、ソファで寝ていた父の後退し始めた額を、猫が熱心に舐めてた。
それを見ていた母が
「ブラッシングのお礼に刺激して毛を生やそうとしてんのよw」
と言っていた。

父ちゃんウラヤマシス( ´・ω・)

旦那が私のおっぱいに反旗を翻してしまった

なんてこった、おっぱい狂いの旦那が私のおっぱいに反旗を翻してしまった


「俺がどんなに頑張って娘ちゃん(二ヶ月)を寝かしつけてるかお前にわかるか!お前はおっぱいを出すだけですぐ寝かしつけるから分からんだろう!!そんなおっぱいなんて嫌いだ!でもお前のおっぱい大好き!ちくしょう寝かしつけ最終兵器おっぱい強すぎるよウワァァァ」


酷い言い草だけど、毎日私より娘の世話してくれて、嫁大好き娘大好きって言ってくれるから、たまにおっぱいを罵るくらいはいいよ…

中古車

関東、横浜、多数あるオークション会場に行っていた頃の体験ですが、人身事故のあった車両(死亡)などは車内に花束が供えてありましたが平気な顔して落札して販売されています。

一番、記憶に残るのはボルボの新車(登録後3ヶ月)走行距離1000キロでした。
オーナーは落札はしませんでしたが神奈川の業者が落札していました。
修復履歴はフロントガラスのみ。なのに何故、破格なのだろう?と聞いて見るとワンオーナーの60代の男性が、孫も生まれ長生きしないと、と安全性の高いボルボを購入し間もないときに、前方のトラックが荷崩れを起こし角材がフロントガラスを貫通し男性の顔面および頭部に直撃し即死だったという、そのボルボが一番、印象に残ります。

最近では練炭自殺などのワンボックス車両なども多く出ています。
だからと言って価格は破格ということはないです。
なにも知らずに乗るのが一番かも知れません。

中古は前ナンバーがついているならば陸運局で前のオーナーが健在か調べることも可能です。
でも、そんなこと気にする人は中古は買いません。
轢いた、ぶつけた、は当たり前だから。

ぽてちの守り人

さっき昼飯買いに行ったローソンでの出来事。
夏休み中ってことで、本の前にたむろして立ち読みしてる中学生が多かった。 
別に本買いに来たわけじゃないしと思ってドリンクを取り、ポテトチップスを取ろうとしたらその棚の前で立ち読みしてるオッサンがいた。 
近くに行っても週刊誌に没頭していてどきもしない。 「ちょっとすみません」って言っても完全に無視。
いいかげんむかついたんで「すみません、あなたはポテトチップスの精霊か何かでしょうか? 金も銀もいらないんでそこの普通のうすしお味もらえませんか?」と言ったら 、近くの中学生がツボにはまったらしく大笑いで「俺もそこのコンソメ味くれよ。あ、俺は金も銀もくれるならもらうわw」「うわ、ポテトチップスの精霊なんて初めて見たw」 
と口々に言い始めて、そこでようやく店員登場。「他のお客様の迷惑になりますので…」と言われた途端、ポテトチップスの精霊はプルプル震えながら真っ赤な顔で走り去って行った。
「お、逃げた。ポテトチップスの精霊走って逃げたw」「精霊追いかけてみようぜ」と中学生の群れも消えた。 
俺は静かになったコンビニでポテトチップスうすしお味と紅茶とサンドイッチを買って帰った。精霊のその後の行方は知らない。

ひまだしちょっとオレオレ詐欺でもしよっと

今日一人でお昼ごはんを食べつつ原稿いじってた時。
後ろのテーブル席にいた見た目DQN風な男の人二人。

A「ひまだしちょっとオレオレ詐欺でもしよっと」

B「えwwwなにそれww」

A「ちょいばーちゃんに電話するわww」 スマホをいじる

A「あー俺俺!ばーちゃん!俺だからww!」

B「wwww」




A「……え?うん、元気だよ。ちゃんと大学も行ってるし。うん、いま友達と一緒。大丈夫ご飯食べてるから。もう夏休みだし帰るよ。うん、うん、ピロ(ペロだったかも)そばにいるの?わかった絶対帰るから。うん、ばーちゃんも熱中症とか気をつけろよ。うん、じゃあまた電話するからうん」

B「ばーちゃんと話せてよかったじゃん」

A「このあとお土産見に行くの付き合ってもらっていい?」

B「おー」


おばあちゃん子なAに少しなごんだ。

とんでもない他人の空似

十年前の我が家の修羅場です。
我が家の前を歩いていたら、向かいの話したことないおばさんが寄って来た。
「悪いんだけど少し用立ててもらいたいのだけど、お母さんに頼んでくれない?
息子の事業がうまくいかなくて困ってるの。」高校生にそんなデープな話をなんでと、疑問に思いながら小娘は返事もできずただびっくりしてたら、おばさんは「じゃ後で家に行くからね。」と去って行った。

家に帰って母親に話したら「そういや昨日から普段会って無い親戚から会いたいとか旅行に行きましょうとか電話してくるの。なんだろうね。」と言って来た。
向かいのおばさんは、それからすぐやって来て「一千万でいいの。お願い。うまくいけば利子も付けるし。借用書もちゃんと書くからお願い。どうせあぶく銭じゃないの。」
母と私は「一千万!うちは普通のサラリーマンです。そんなお金ありません。」と断ると必死な顔でおばさんは「ちょっと運がいいぐらいで、でかい顔すんな!くれって言ってんじゃない。貸してくれって言ってんだよ。頼むよ。会社がつぶれたら孫が学校辞めなきゃいけなんだよ。」としつこく居座る。
本当に意味不明で聞き出すと、おとといテレビに出ていた宝くじが立て続けに当たった人が家の父そっくりだったと言うのだ。顔ははっきり映らなかったけど姿かたちが同じで、禿具合まで一緒だったそうだ。

家の父はテレビ出てないし、宝くじも当たって無い。家のローンも細々返していると母は言う。
でもおばさんは信じてくれない。一時間以上粘られていたら父が帰った来た。
父を見たおばさんが土下座して「頼みます。くれとは言いません。貸してください。このままでは
孫が高校中退になってしまいます。お願いします。絶対返します。」と言った。
父も目を白黒させてびっくりしていたので、母が「宝くじあたった?テレビに出た?」と聞いたら
「300円しか当たったことないけど買ったことはあるよ。テレビになんて出たこともないよ。」だって
おばさんはそれでも「隠してるのはわかるけど億あるのなら一千万ならはした金でしょう。」とかあんまり覚えてないけどそんな言い方で、必死な形相で父に迫って来る。

玄関先でやっていたから、隣近所が集まって来て、その中におばさんの旦那さんもいた。
それを見つけたおばさんは「あんたも頼んでよ。」と二人で土下座を始めた。
何回土下座されても無いものは貸せないと言うしかないので、当たったのは父じゃないと三人で必死に言ったら、おばさんが立ち上がってきーと声あげて倒れてしまった。
それから救急車は来るわ警察は事情を聴きに来るわ、父がおじさんになぐられるわで修羅場でした。

でも本当の修羅場は、近所で村八分みたいにされたり親戚がたかりに来たりしたそのあとでした。本当に当たってないか十年経った今でも疑われているようです。

あの後その一家は家を売却して引っ越して行きました。
息子さんの連帯保証人になっていたらしいです。
その後「貸してあげればいいのに」「お気の毒に」「人でなし」とか噂され、母が外で挨拶しても無視されるようになり、揚句は班長も飛ばされて防災訓練も声を掛けられないようになりました。
定年退職まで我慢して、今は家を売り父と母は同郷なので、故郷に帰ってます。

厨二病扱い

俺一応クリスチャンだけど、新約聖書の中で、
「イエスは、故郷の街にいるときは奇跡を行わなかった」
って逸話が結構好きだ。
なんで、って弟子に聞かれて、
「あいつら俺のこと大工の息子のイエス坊主ってバカにして信じねーんだもん」
とか答えるんだよね。

似た様な話が孔子にもあって、
「普段は偉そうに色んなことべらべら喋るけど、自分の田舎に帰ったときは超大人しかった」
とか史記に書かれてるw

カッタンカタンカタタタタタタタ

最近我が家の洗濯機があやしい挙動をするようになってきたんで、そろそろ買い換えようか?という話をしていた。

脱水中にいつもの「ゴーーン」とか「グイーーン」という感じの音に混じって「カッタンカタンカタタタタタタタ」みたいなリズミカルな音がするんだ。

で、今朝眼が覚めて2階の寝室から下へ降りたら、カタタタタカッタンカタタタタ……と脱水中の洗濯機が出す音にあわせて、嫁がなんかフラメンコっぽいしぐさとステップ(音は出してない)で踊りまくってた……

おまえは……いくつだよ小学生じゃあるまいに……もう30だぜ……orz

落ち着いて素数を数えるんだ

【付き合いたい素数ランキング】

1位 3 「ボンキュッボンの体、見ているだけでヨダレが出ます(東工大2年)」他35票

2位 2 「一番小さくて、守ってあげたくなる存在です(東工大4年)」他23票

3位 7 「すごく刺々しい、踏まれたいです(東工大1年)」他15票

知らない番号

嫁の実家の二階に一人でいたら知らない番号から携帯がかかってきた
「俺だよ!」「どちら様でしょうか?」「何言ってんだよ。後ろ見てみろよwww」
恐る恐る後ろを見てみたが襖があるだけだった
「プツッ」電話は切れた

おこってる

五年前 息子が3歳の頃の話。

盆暮れの熱帯夜、肌の不快なベト付きと喉の渇きで不意に目が覚めた。
目を擦りながらふと嫁さんと俺の間、息子が寝ているはずの場所を見る。
が、可愛い盛りの息子の寝顔がそこに無かった。
んん?っと息子が行きそうな場所を寝惚けた頭の中に巡らせる。
寝苦しさから涼を求め、ベッドの下にでも行ったか?
はたまた冷凍室にある大好きな氷でも触りにキッチンへ?
少しずつ冴えてくる思考の中の可能性が高そうな所へ行ってみようと、腰を上げた矢先。

「ギギギギ…ギギ…ギィ」

ああ。居場所が分かった。
盆に教えた、仏壇に手を合わせる行為をえらく気に入っていた息子は普段の生活の最中も
「のんのんちゃん(仏壇に手を合わせる行為・または仏壇そのものの事)するっ」
と言って観音開きを得意気に開けては御参りをしていた。
やれやれという気持ちで仏間へ向うと、案の定開かれた仏壇の前に見慣れたシルエットがそこにあった。
だが明らかに様子がおかしい。
息子は手を合わせるのでは無く顔を、いや目を覆い隠し、不自然な程ガクガクと震えている。
只事ではない様子に、「○○っ!」と名前を呼びながら小さな背中に近付くと、俺の存在に気が付き、顔中涙と鼻水に濡れた泣き顔こちらに向け、大きく息を吸って精一杯の大声で状況報告をした。

「のんのんちゃんがおこってるううううう!!!!」

直ぐに息子を抱えて嫁を起こし、車で三十分の俺の実家へ逃げた。

いや、それだけなんだけど。なんかごめん。

ただ1番怖いのは、のんのんちゃんを教えたのは実家で当時住んでた家は借家でな、観音開きの中は空っぽだったんよ

うぜーな

うちから50mほどの所で、夜になると道の真ん中に立ってブツブツ言ってる女が居たんだよ。
夜にコンビニ行く時に、反対方向だけど見えるんで気付いた。
ある晩、その女が居る方向から帰ってきた事があるんだよね。
俺、酔ってたんで、道の真ん中にボーッと立ってブツブツ言ってる女に
「チッ、うぜーな」
って言ったんだよ。

シャワー浴びて寝て、夜中に喉乾いてキッチン出た時に(当時ワンルームだった)、なんかふっっ・・・と感じてキッチンから見える玄関ドアのスコープ覗いたら2階の外廊下、俺の部屋のドアの真ん前に、こっち向いてその女が立ってた・・・
全身鳥肌立って、息殺してたんだけど、そのまま静かにベッド戻ろうにもドアチェーン掛けてない事気付いて、動けないでそのままそこで固まってた。

邪視

これは俺が14歳の時の話だ。冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。
本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。
小さい頃から仲良くしてもらっていたので、俺は喜んで遊びに行く事になった。
叔父も俺と同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。

叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽、等等教えてもらっており、尊敬していた。
車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。

やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。そして、かなりの山道を登り、別荘へ。
それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。
少し下がった土地の所に、2~3他の別荘が見える。人は来ていない様子だった。
夕食は庭でバーベキューだった。普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。
ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。

食後は、暖炉のある部屋に行き、TVを見たりプレステ・スーファミ・ファミコンで遊んだり。
裏ビデオなんかも見せてもらって、当時童貞だったので、衝撃を受けたもんだった。
深夜になると、怖い話でも盛り上がった。叔父はこういう方面も得意で、本当に怖かった。機会があればその話も書きたいが…

ふと、叔父が思い出した様に「裏山には絶対に入るなよ」と呟いた。
何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。
関係ないかもしれないが、近くの別荘の社長も、昔、裏山で首吊ってる、と言った。
いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないし、とその時は思った。
そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。

部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。喉の渇きを覚え、1階に水を飲みに行く。
途中で叔父の部屋を覗くと、イビキをかいてまだ寝ている。寒いが、本当に気持ちの良い朝だ。
やはり山の空気は都会と全然違う。自分の部屋に戻り、ベランダに出て、椅子に座る。

景色は、丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。
ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。
高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。
町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。
30分くらい夢中で覗いていただろうか?丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。

人?の様に見えた。背中が見える。頭はツルツルだ。しきりに全身を揺らしている。地元の人?踊り?
手には鎌を持っている。だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。そういう祭り?だが、1人しかいない。
思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。背中をこちらに向けているので、顔は見えない。
その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。

「これ以上見てはいけない」

と本能的にそう感じた。人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。
だが、好奇心が勝ってしまった。望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。
ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。
恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。
体が震えた。1つ目。奇形のアブナイ人。ソイツと、望遠鏡のレンズ越しに目が合った。口を歪ませている。笑っている。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目が合った瞬間、叫んでいた。涙が止まらない。とにかく、死にたい。異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。
死にたい死にたい…半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た。

「どうした!?」
「バケモン!!」
「は?」
「望遠鏡!!裏山!!」

叔父が望遠鏡を覗きこむ。

「~~~~~~ッ」

声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。鼻水を垂らしながら泣いている。
さっきよりは、少し気持ちの落ち着いた俺が聞いた。

「アレ何だよ!!」
「00子~ 00子~」

別れた彼女の名前を叫びながら、泣きじゃくる叔父。
流石にヤバイと思い、生まれて初めて平手で思いっきり、人の顔をはたいた。
体を小刻みに揺らす叔父。10秒、20秒…叔父が俺を見つめてきた。

「邪視」
「じゃし?」
「いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も」
「なんで(ry」
「いいから持ってこい!!」

俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。震える手で叔父はサングラスを掛け、望遠鏡を覗く。しばらく、望遠鏡を動かしている。
「ウッ」と呻き、俺に手招きをする。「グラサンかけて見てみろ」。恐る恐る、サングラスをかけ、覗き込む。
グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。

だが心臓の鼓動が異常に早い。と言うか、さっきの場所では無い…ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り?をしながら動いている。
目線だけはしっかりこちらに向けたまま…山を降りている!?まさかこっちに来ている…!?

「00、お前小便出るか?」
「は?こんな時に何を…」
「出るなら、食堂に空きのペットボトルあるから、それに小便入れて来い」

そう言うと、叔父は1階に降りていった。こんな時に出るわけないので、呆然としていたら数分後、叔父がペットボトルに黄色の小便を入れて戻ってきた。

「したくなったら、これに入れろ」

と言い、叔父がもう1つの空のペットボトルを俺に差し出した。

「いや、だからアイツ何?」
「山の物…山子…分からん。ただ、俺がガキの頃、よく親父と山にキャンプとか行ってたが、あぁ、あそこの裏山じゃないぞ?山は色んな奇妙な事が起こるからな…夜でも、テントの外で人の話し声がするが、誰もいない。そんな時に、小便とか撒いたら、不思議にピタッと止んだもんさ…」

そう言うと叔父は、もう一度望遠鏡を覗き込んだ。「グウッ」と苦しそうに呻きながらも、アイツを観察している様子だ。

「アイツな。時速何Kmか知らんが、本当にゆっくりゆっくり移動している。途中で見えなくなったが…間違いなく、このロッジに向かってるんじゃないのか」
「じゃあ、早く車で戻ろうよ」
「多分、無駄だ…アイツの興味を俺たちから逸らさない限りは…多分どこまでも追ってくる。これは一種の呪いだ。邪悪な視線、と書いて邪視と読むんだが…」
「さっき言ってたヤツか…でも何でそんなに詳しいの?」
「俺が仕事で北欧のある街に一時滞在してた時…イヤ、俺らが助かったら話そう」
「助かったらって…アイツが来るまでここにいるの?」
「いいや、迎え撃つんだよ」

俺は絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見はロッジに来られる前に、どうにかした方が良い、と言う物だった。
あんな恐ろしいヤツの所に行くなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔からいつだって頼りになる人だった。俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。
それぞれ、グラサン・ペットボトル・軽目の食料が入ったリュック・手持ちの双眼鏡・木製のバット・懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。
暗くなる前にどうにかしたい、と言う叔父の考えだった。
果たして、アイツの視線に耐えられるのか?望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか?様々な不安が頭の中を駆け巡った。

裏山と言っても、結構広大だ。双眼鏡を駆使しながら、アイツを探しまわった。
叔父いわく、アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになると言う考えだ。
あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだ、やや開けた場所で待ち伏せする事になった。

「興味さえ逸らせば良いんだよ。興味さえ…」
「どうやって?」
「俺の考えでは、まずどうしてもアイツに近づかなければならない。だが直視は絶対にするな。斜めに見ろ。言ってる事分かるな?目線を外し、視線の外で場所を捉えろ。
そして、溜めた小便をぶっかける。それでもダメなら…良いか?真面目な話だぞ?俺らのチ○コを見せる」
「はぁ?」
「邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。糞尿だったり、性器だったり…だから、殺せはしないが、それでアイツを逃げされる事が出来たのなら、俺らは助かると思う」
「…それでもダメなら?」
「…逃げるしかない。とっとと車で」

俺と叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。
交代で双眼鏡を見ながら。時刻は4時を回っていた。

「兄ちゃん、起きろ」

俺が10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。

「兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ」

うるさい。あと3分寝かせろ。

「兄ちゃん、起きないと 死  ん  じ  ゃ  う  ぞ  !  !」

ハッ、とした。寝てた??あり得ない、あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた??
横の叔父を見る。寝ている。急いで起こす。叔父、飛び起きる。
腕時計を見る、5時半。辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。

「00、聴こえるか?」
「え?」
「声…歌?」

神経を集中させて耳をすますと、右前方数m?の茂みから、声が聞こえる。
だんだんこっちに近づいて来る。民謡の様な歌い回し、何言ってるかは分からないが、不気味で高い声。
恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。声を聞いただけで世の中の、何もかもが嫌になってくる。

「いいか!足元だけを照らせ!!」

叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする、茂みの下方を懐中電灯で照らした。
足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら、近づいてくる。
その歌のなんと不気味な事!!一瞬、思考が途切れた。

「あぁぁっ!!」
「ひっ!!」

ヤツが腰を落とし、四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に、顔を持ってきた。直視してしまった。
昼間と同じ感情が襲ってきた。死にたい死にたい死にたい!こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ!!
叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。落ちたライトがヤツの体を照らす。意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。右手には錆びた鎌。よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、

「プルルルルッ」

叔父の携帯が鳴った。号泣していた叔父は、何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し、見る。
こんな時に何してんだ…もうすぐ死ぬのに…と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。
まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。ヤツが俺の方に来た。恐怖で失禁していた。死ぬ。
その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、俺のペットボトルを手に取った。

「こっちを見るなよ!!ヤツの顔を照らすから目を瞑れ!!」

俺は夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。
ここからは後で叔父に聞いた話。まずヤツの顔を照らし、視線の外で位置を見る。
少々汚い話だが、俺のペットボトルに口をつけ、小便を口に含み、ライトでヤツの顔を照らしたまま、しゃがんでヤツの顔に小便を吹きかける瞬間、目を瞑る。霧の様に吹く。
ヤツの馬の嘶きの様な悲鳴が聞こえた。さらに口に含み、吹く。吹く。ヤツの目に。目に。

さっきのとはまた一段と高い、ヤツの悲鳴が聞こえる。だが、まだそこにいる!!
焦った叔父は、ズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。
恐らく、ヤツはそれを見たのだろう。言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。
俺は、そこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。
何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた!!
それこそ杖をついた、高齢の老人の歩行速度の如く!!
俺たちは、ヤツが見えなくなるまでじっとライトで背中を照らし、見つめていた。いつ振り返るか分からない恐怖に耐えながら…
永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。

俺たちはロッジに戻るまで何も会話を交わさず、黙々と歩いた。
中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。飲みながら、やっと口を開く。

「あれで叔父さんの言う、興味はそれた、って事?」
「うぅん…恐らくな。さすがに、チンコは惨めなほど縮み上がってたけどな」

苦笑する叔父。やがて、ぽつりぽつりと、邪視の事について語り始めてくれた…

叔父は、仕事柄、船で海外に行く事が多い。詳しい事は言えないが、いわゆる技術士だ。
叔父が北欧のとある街に滞在していた、ある日の事。現地で仲良くなった、通訳も出来る技術仲間の男が、面白い物を見せてくれると言う。叔父は人気の無い路地に連れて行かれた。ストリップとかの類かな、と思っていると、路地裏の薄汚い、小さな家に通された。叔父は中に入って驚いた。
外見はみすぼらしいが、家の中はまるで違った。一目で高級品と分かる絨毯。壺。貴金属の類…香の良い香りも漂っている。
わけが分からないまま、叔父が目を奪われていると、奥の小部屋に通された。
そこには、蝋燭が灯る中、見た目は60代くらいの男が座っていた。ただ異様なのは、夜で家の中なのにサングラスをかけていた。
現地の男によれば「邪視」の持ち主だと言う。

邪視(じゃし)とは、世界の広範囲に分布する民間伝承、迷信の一つで、悪意を持って相手を睨みつける事によって、対象となった被害者に呪いを掛ける事が出来るという。
イビルアイ(evil eye)、邪眼(じゃがん)、魔眼(まがん)とも言われる。
邪視の力によっては、人が病気になり衰弱していき、ついには死に至る事さえあるという。

叔父は、からかい半分で説明を聞いていた。この男も、そういう奇術・手品師の類であろうと。
座っていた男が、現地の男に耳打ちした。男曰く、信じていない様子だから、少しだけ力を体験させてあげよう、と。
叔父は、これも一興、と思い、承諾した。また男が現地の男に耳打ちする。男曰く、

「今から貴方を縛りあげる。誤解しないでもらいたいのは、それだけ私の力が強いからである。貴方は暴れ回るだろう。私は、ほんの一瞬だけ、私の目で貴方の目を見つめる。やる事は、ただそれだけだ」

叔父は、恐らく何か目に恐ろしげな細工でもしているのだろう、と思ったという。
本当に目が醜く潰れているのかもしれないし、カラーコンタクトかもしれない。
もしくは、香に何か幻惑剤の様な効果が…と。縛られるのは抵抗があったが、友人の現地の男も、本当に信頼出来る人物だったので、応じた。
椅子に縛られた叔父に、男が近づく。友人は後ろを向いている。
静かに、サングラスを外す。叔父を見下ろす。

「ホントにな、今日のアイツを見た時の様になったんだ」

コーヒーをテーブルに置いて、叔父は呟いた。

「見た瞬間、死にたくなるんだよ。瞳はなんてことない普通の瞳なのにな。とにかく、世の中の全てが嫌になる。見つめられたのはほんの、1~2秒だったけどな。何かの暗示とか、催眠とか、そういうレベルの話じゃないと思う」

友人が言うには、その邪視の男は、金さえ積まれれば殺しもやるという。
現地のマフィア達の抗争にも利用されている、とも聞いた。
叔父が帰国する事になった1週間ほど前、邪視の男が死んだ、という。
所属する組織のメンツを潰して仕事をしたとかで、抹殺されたのだという。
男は娼婦小屋で椅子に縛りつけれれて死んでいた。床には糞尿がバラ巻かれていたと言う。
男は、凄まじい力で縄を引きちぎり、自分の両眼球をくり抜いて死んでいたという。

「さっきも言った様に、邪視は不浄な物を嫌う。汚物にまみれながら、ストリップか性行為でも見せられたのかね」

俺は、一言も発する気力もなく、話を聞いていた。さっきの化け物も、邪視の持ち主だっという事だろうか。
俺の考えを読み取ったかのように、叔父は続けた。

「アイツが本当に化け物だったのか、ああいう風に育てられた人間なのかは分からない。ただ、アイツは逃げるだけじゃダメな気がしてな…だから死ぬ気で立ち向かった。カッパも、人間の唾が嫌いとか言うじゃないか。案外、お経やお守りなんかよりも、人間の体の方がああいうモノに有効なのかもしれないな」

俺は、話を聞きながら弟の夢の事を思い出して、話した。弟が助けてくれたんじゃないだろうか…と。
俺は泣いていた。叔父は神妙に聞き、1分くらい無言のまま、やがて口を開いた。

「そういう事もあるかもしれないな…00はお前よりしっかりしてたしな。俺の鳴った携帯の事、覚えてるか?あれな、別れた彼女からなんだよ。でもな、この山の周辺で、携帯通じるわけねぇんだよ。見ろよ。今、アンテナ一本も立ってないだろ?だから、そういう事もあるのかも知れないな…今すぐ、山下りて帰ろう。このロッジも売るわ。早く彼女にも電話したいしな」

叔父は照れくさそうに笑うと、コーヒーを飲み干し立ち上がった。
プロフィール

ナイア

Author:ナイア
どこかで見たことのある話を載せていきます。

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