テンポポ様

俺の地元には奇妙な風習がある。

その行事の行われる山は標高こそ200m程度と低い物であるが、一本の腐った注連縄のようなものでお山をぐるりと囲んでおり、女は勿論、例え男であっても普段からその山に立ち入ることは許されていなかった。
それでも、時々調子に乗ってその注連縄をくぐってお山に入ろうとする子どもが現れる。
実際俺の年の離れた兄貴の友達が、その注連縄をくぐってお山に入り込んだらしいのだが、その事実を聞きつけて来た村長連中にお堂に連れて行かれ、三日三晩眠る事すら許されない程の激しい暴行を受けたらしい。
それを聞かされて育った俺達は勿論お山に近づくような事は無かったし、俺達地元の子ども達にとってお山は恐怖の対象でしかなかった。
そんな奇妙なお山であるが、数年~十数年に一度不定期に人が足を踏み入れることがあった。お山の木々が色を変え、突き抜けるような青空とどこか冬の匂いを想わせる風の吹き出す10月に、その年に11~12歳となる少年たちが集められ、白装束を着せられてお山を登らされるのだ。
ただ一つ、「お山に入ったら一言も口をきくんじゃないぞ」と念を押されて。

俺がお山に入らなければならないと聞いたのは、その奇妙な行事の行われる10日ほど前の事だった。
両親から話を聞いた段階で俺はすでに泣き出しそうになっていたが、
「村の決定だ。逃げ出すことは絶対にできない。お前にはすまないと思うが辛抱してくれ」
と頭を下げてくる両親を見ると、その願いを断ることは出来なかった。

それからの日々はあっという間だった。

一切の外出は禁止され、食事の内容がガラリと変わった。
大好きだったハンバーグや焼き鳥のような動物の肉を使った料理は食卓から消え去り、その代わりに老人が好みそうな菜食中心の物となった。
しかも、それらのほとんどが塩のみで味付けされており、その他の調味料すら使う事を禁じられていたため、それらの料理をもしゃもしゃ食べながら、当時はケージで飼われるウサギにでもなった気分だった。

前日に至ってはそれまで三食あった食事すら禁じられ、口に含める物は水と塩だけとなった。
そんな生活のせいで俺の体はみるみる痩せてしまい、その十日間で体重が6Kgも落ちた。
当日は太陽が昇る前に(4時~5時頃?)に両親に起こされ、どこからか持ってきていた白装束を着るように言われた。
前日まともに食事をとっていなかったせいで、体力は落ちていたし、早朝に起こされた眠気もあって、俺は始終フラフラしていた。意識が朦朧とするなか、俺の自宅に俺と同じような白装束を着た大人が何人も訪れた。
彼らは両親と話をした後、俺をワゴン車に乗せると件の山に向けて車を発車させた。

俺を乗せた車は街灯もない田舎道をしばらく走った後、静かに停車した。
車に乗ってからというもの、大人たちの発する異様な雰囲気に、俺は最早借りて来た猫のように縮こまり、停車した時には少し安堵したのを覚えている。
車から降りると、その場には俺と同年代だったA・B・C・Dがいた。
皆一様にして顔色が悪く、10日前には考えられないほどやつれている。
きっと俺も彼らと同じようになってしまっているんだろうなとげんなりしていると、白装束を着た大人の一人が俺達の前に出て来た。

「今からお山に入る。分っているとは思うが、俺達が良いというまでは口を開くなよ。」

俺達と同じ白装束に身を包み、顔には同じく白い布をかぶせていて、その男の表情は読めない。
しかし、その真剣な様子から俺達はビビりながらもその男の言葉に頷いた。

山に入ってからはまさに地獄だった。
普段から人の入る山ではないので、道などあるはずもなく、落ち葉を踏みしめ、雑草を踏みつぶしてただ黙々とお山の頂上を目指して足を進める。
食事制限と眠気のせいで、平地でさえ足元が覚束ないのに、まだ日の昇っていない山道を一言も声を上げる事すら許されずに登っていく事の辛さが分るだろうか。
ましてや当時の俺達は子どもである。何故こんなにも辛いことをさせられるのか分らず、正直逃げ出したい気持ちだった。

しかし、逃げ出すことは叶わなかった。なぜなら、俺達の周りには先ほどの男を先頭に、俺達を囲むようにして男と同じような格好をした大人達がいたのだ。
俺達は何とも言い難い雰囲気の中、道なき道を延々と上り続け、そして辿り着いた先には小さなお社があった。
何を祀っているのか今となっては確認のしようもないが、その小さなお社は子どもが10人入り込めば満員になってしまう程の大きさであった。
大人たちは俺達5人をそのお社に押し込むと、一人一人に酒と塩を配りながら静かに口を開いた。

「それを飲んだらお前達には一人づつお山を下りてもらう。このお社を出たら、どんな道順であろうと真っ直ぐに麓を目指せ。さっきも言った通りこのお社から出た後、お山を降りるまでは決して口を開くなよ」

それからその男は、

・このお社の中であれば俺達同士で話をしても良い事
・何があろうと決して後ろを振り向かず、声を上げない事
・太鼓の音が聞こえたら、年少者からお社を出て麓を目指す事

を俺達に伝えると、お社の外で待機していたらしい他の白装束の大人を引き連れてお社を出て行った。

残された俺達は半狂乱だった。まだ、日が昇っていないせいで、明りはあの男が付けて行った蝋燭の火だけ。
不気味に照らされたお社の中で映し出される顔は見知った友人達の顔であったが、そのどれもが精気を根こそぎ奪われたミイラのように見えてしまう。

「どうなってんだよ!」「知らねーよ」「……お母さん」「何なんだよ、くそっ!!」

初めこそ口々に文句や大人に対する罵詈雑言を吐いていた俺達だったが、あの畏怖の対象だったお山に子どもだけで置き去りにされている恐怖感と絶望感、そしてこれからどうなってしまうのか分らない不安感に支配されてしまい、結局皆無言のまま太鼓の音が聞こえるのをひたすら待ち望んでいた。

そうこうしているうちに、何処からともなく野太い太鼓の音が聞こえて来た。
誕生日的に一番年少のAはその音を聞いただけで、ビクッっと体を震わせて声にならない小さな悲鳴を上げていたようだが、俺達の視線とこのお社の中の最悪な空気に耐えられなくなった様子で、扉をあけるとダッシュでお社を飛び出して行った。
開いた扉から一瞬だけ覗いた外の景色は、向かいの山に丁度朝日が顔を出したところで、不思議なことにこの時だけはなぜか安心することが出来た。

Aが飛び出して行って数十分。俺達は特に話すこともなく、ただじっと床を見つめて次の太鼓の音が聞こえるのを待っていた。
どこかに隙間があるのか、冷たい空気が身体を震わせる。
残された仲間同士で身体を寄せ合い寒さから身を守っていると、ドーン ドーンと地鳴りのように野太い太鼓の音が再び聞こえてきた。
それを聞いたBは心を決めていたのか、すくっと立ちあがると躊躇することなくお社を出て行った。
それから数十分後にはCが、その後にはDがお社を出て行った。
お社に残されたのは俺一人。
それまでなんとなくあった仲間と一緒だから大丈夫という心理もなくなり、俺は本当に一人になってしまった事実にガタガタと震えていた。もうこの頃には時間の感覚などなくなってしまっていた。
膝を抱え、恐怖と孤独感に押しつぶされそうになっていたんだと思う。
だから太鼓の音が聞こえた時は恐怖よりも歓喜の方が強かった。

やっとこの恐怖から解放される。
そう思ってお社の扉を開くと、そこには、なんてこともない普通の山の景色が広がっていた。
お社に入った時には、まだ日が昇っていなかったので良く見えなかったのだが、俺達の畏れていたお山にしては拍子抜けするほど普通だった。
朝の爽やかな空気が満ち、風にそよぐ色とりどりの葉っぱ。
朝梅雨はお日様の光を跳ね返し、まるで光の絨毯を敷いたような錯覚さえ覚えた。
思わず、「何だ、別に大したことねーじゃん」と口をついて出そうになるのを呑み込み、俺はお山を下り始めた。

一番初めに違和感を感じたのは、山を下り始めて数分の事だった。
早朝の山にしては静かすぎるのだ。山に行ったことのある人なら分ると思うが、山は意外に色々な音に溢れている。
小川のせせらぎや、小鳥の囀り、木の葉のこすれる音に、小さな虫の声。
そのどれもが一切聞こえない。聞こえるのは俺が落ち葉を踏みしめる乾いた音と、気まぐれに吹く冷たい風の音だけ。
それに気付くと、とたんに俺はえも言われぬ恐怖に襲われた。やはり、この山は普通じゃない。
しかし、恐怖に襲われたからと言っても足を速める事は出来なかった。空腹と睡眠不足が祟っているのだ。
俺はふらつく足を無理やり動かし、徐々に山を下っていく。

次に違和感を感じたのは、山の中腹辺りに差し掛かった頃だっただろうか。
何故か誰かに見られているような視線を感じ、辺りを見渡すもそこにあるのは細い木と枯葉だけだった。

「(ここはお山だ。俺以外はすでに山を下りているはずだし、多分気のせいだろう)」

無理やり自分に言い聞かせて足を進める。と、今度は俺の背後で誰かが話をしているような気配を感じた。
それも一人二人ではなく、複数の子どもの話声だった。
俺は思わず叫び出しそうになるが、手のひらで口を押さえて悲鳴を抑え込む。
その代わりに、俺は脚に力を込めて走り出した。何度も斜面を転がり、それでも走り続けていると、いつの間にか謎の気配は消えてしまっていた。
張り付く喉のせいで呼吸が苦しく、貧血と酸欠でいよいよ意識が混濁してきた。
それでも、この恐怖から逃れるために、俺は這うようにして脚を進めた。

事が起きたのはその時だった。突然背後から「○○ーーー!!」と母親の声が俺の名前を呼んだのだ。
思わず振り返る俺。しかし、そこに母の姿は無かった。代わりにいたのは、俺と同じ白装束を着た一人の少年。
一瞬、先にお山を下ったはずの友人かとも思ったが、声を出すなとあれほど言い含められて声を出すような奴はいないはずだ。
それにその少年の顔に俺は見覚えが無かった。それほど大きくはない村だ。同年代の子どもの顔くらい全員分る。
それでは、あいつは一体何者か……。
俺が頭を巡らせている間に、少年はにっこりと笑顔になるといたずらを思いついたような顔で口を開いた。

「さぁ、一緒に行こう」

その言葉を聞いた瞬間。俺は全身に鳥肌が立つのを感じた。胸の奥がカッと熱くなり、悲しくもないのに涙が止まらなくなった。

「さぁ、行こう」

少年が徐々に近づいてくる。
不思議なことに、落ち葉を踏みしめているはずの少年の足音は何故か聞こえなかった。

「……さぁ」

いよいよ少年との間が手を伸ばせば届く距離となった時、お社を出るときに聞こえた太鼓の音が、地鳴りのようにして俺の耳に届いた。
少年から目を離し、後ろを振り返ると腐ったような注連縄と、麓で太鼓を叩く大人達の姿が見えた。
いつの間にか、お山を出るまであと少しの所まで来ていたのだ。
俺は、必死の思いで身を翻すと、注連縄をくぐって大人達の待つ麓へと一気に駆け下りた。

俺がお山を抜けると、大人達は何を思ったか、憔悴している俺に向かって大量の酒と塩をぶちまけた。
そして、模造紙のような巨大な紙で俺を包むと、乱暴に軽トラックの荷台に俺を放り投げた。
反抗する気力もないまま、荷台で揺られ、寒さと空腹を覚えつつ俺は眠りについた。

目が覚めると、俺は自宅のベッドに寝かされていた。
両親に話を聞くと、どうも三日三晩眠り続けていたらしい。
両親は村長と神主さんに「一応覚悟はしておけ」と言われていたらしく、俺が目を覚ました時は死んだ人が生き返ったように驚いていた。
両親が落ち着きを取り戻したころに、あの山は一体どういったものか尋ねてみたが、明確な答えはなく、ただ悪いモノが集まるのがあの山。
そしてお前が見たのはおそらくテンポポ様だろうと言ったきり口を開くことはなかった。

あの時、俺の他に参加していたA・B・C・Dについては、俺のように何かに話しかけられたり、何者かの視線を感じることはなかったそうである。体調が回復した後に俺が村長と村長から聞かされた話しの中では、俺のようにテンポポ様に話しかけられて戻って来た子どもは、これまで居なかったそうである。
テンポポ様に話しかけられる(=気に入られる)事はそのまま連れて行かれる事を意味していて、俺の場合は運が良かったのか、テンポポ様の気まぐれなのか良く分らないと言っていた。
その話を聞いて、少しでも天秤が傾いていたら俺はテンポポ様に連れていかれて死んでいたのではないかと思うと同時に、それを村のしきたりとして自然に受け入れている大人達に対する恐怖と軽蔑の念を抱かずにはいられなかった。

これが、大体十年くらい前の話になる。
その後、俺は何事もなく成長し、高校卒業と共にこれ幸いと村を出た。
成人してからもほとんど村に戻ることは無かったのだが、この間個人的な事情により久しぶりに村に戻る機会があったので、親父と元村長にお山について話を聞いて来た。

最初はどちらもかなり渋っていて苦労したが、私が当事者だという事と、成人しているという事で話してもらえることが出来た。

まず初めにお山についてだが、あの山は昔から地元の悪い気の流れが集まる一種の異界なのだそうだ。
鬼が出たとか天狗が出たとか、そういった話には事欠かず、女や子供が立ち入ろうものなら数日のうちに何かしらの不幸がその侵入者に訪れると言われる程、土地にしみついた悪意だとか怨念といったものが浄化されることなく溜まっていく。
見るに見かねた当時の村人達はお山を注連縄で封印することにするが、それも大した効果はなく、溢れ出る邪悪な気は数年~数十年単位で村に干ばつや洪水、飢饉、流行病などの天変地異を引き起こしていたらしい。

そこで考案されたのが、あの奇妙な風習である。

二次性徴直前の肉体的にも生命的にも最も柔軟で充実している少年たちを集め、9日間を掛けて身を清めることで人ならざる者とし、その中の一人を生け贄としてお山に捧げる。
そうすることで、お山の邪気を祓おうとしたのだ。
実際、効果はあった。
それまでの天変地異は嘘のようになりを潜め、お山に対する畏怖の念は時代の流れと共に希釈されて行った。

一定の期間で少年たちを供物に捧げてしまえば、お山は恐るるに足りないとほとんどの村人が思っていた矢先に、村を未曾有の大飢饉が襲うこととなる。
天保4年・西暦1833年のいわゆる天保の大飢饉だ。
当時の江戸幕府すら揺るがしたこの未曽有の飢饉は、例外なく俺の村を襲い、そして多数の餓死者を出した。

そこで注目されたのが、先の風習だった。

飢饉をお山が起こした物だとすれば、村のしきたりを利用して口減らしをする事は勿論、供物としてささげた少年の肉を食う事で当面の食糧にもなるという一石二鳥の名案だと喜んだらしい。
今となっては鬼畜の所業だが、きっと当時はそんな事も言ってられない程酷い状況だったのだろう。
こうして、飢饉が治まる天保10年までに述べ50人以上の少年達が供物としてお山に捧げられ、そしてその少年達の無念さとこの世に対する恨みがお山の邪気と融合して怪物が生まれたのだ。

それこそが、テンポポ様。

飢饉前に供物として捧げられた少年達も合わせると、恐らく100人以上の少年達の怨念の塊であり、土地の悪意を吸収してさらに成長した怪物。
その怨念を抑えるために、さらに供物として捧げられた少年たちを合わせると、その規模は最早想像も出来ない程の数に上る事だろう。

村としても、何度も著名な霊能力者に、お山に巣くうテンポポ様をなんとか鎮めることが出来ないか依頼したそうだが、どの人もお山を見た瞬間に凍りつき、

「あれは、人の祓えるモノではない。これから何百年もかけて管理し、徐々に力を弱めて行くことしか出来ないでしょう」

と匙を投げたらしい。

あのお山を管理することは、村に生まれた者の務め。
何の罪もない無垢な少年達を供物という形で殺め、死肉を貪り生き延びた者達の末裔として
それは当然の義務かもしれない。
しかし、今年生まれた俺の息子の顔を見ると、俺はこう思わずにはいられないのだ。

「どうかこの子が12歳になる時に、俺と同じような目には遭いませんように」と。
スポンサーサイト

おいでおいで

これは元カノA子から聞いた話。
A子が物心つきはじめたころのこと。
夕方、母が食事の支度をしている間一人で遊んでいると、洗濯機からにゅっと手が伸びていたという。
手はA子に向けておいでおいでをしている。
A子は興味津々で近づくが洗濯機の口には背が届かず、中を見ることはできない。
手はにゅっと突き出たままで、おいでおいでをしている。

そのうち、洗濯機の口のほうから
「A子ちゃんはいい子だね、遊んであげるから玄関から踏み台を持っておいで」
と男の声が聞こえた。
A子は言われるがまま、一生懸命踏み台を運びそれに登ると洗濯機の中が見えた。
洗濯機には水が張っており、手はすでになかった。

しかしA子は気になって仕方がない。
そのまま上体を傾け洗濯機の中身をさらに覗こうとしたとき、祖父に止められ抱き抱えられた。
祖父と母にこっぴどく叱られ、手の話は出来なかったが、
A子はそれからしばらくの間、洗濯機には人が入っており、洗ってくれているものだと考えていたとか。
それから二度と手を見ることはなかったという。

怯える黒人

彼女と家にいたら、突然うちのドアを激しく叩かれる音が聞こえた。
どうせ同じアパートに住む友人のいつものイタズラだろう、とろくに確認せずにドアを開けると、タンクトップのがたいのいい黒人がいた。
手にナイフを持っていた。
一瞬、ヤバいやつだ、と思ったが混乱してしまい、なにもできなかった。
しかし、よく見ると様子がおかしい。
焦っているのは相手のほう。
肩で息をしており、汗だくだった。
英語でなにか捲し立ててるが、俺にはよくわからない。
相手はおかまいなしでわめいている。
そのうち、奥に隠れて様子を見ていた彼女が出てきて男と話を始めた。
彼女は留学経験があり、日常英会話程度なら不自由しない。
俺はしばらく話を伺っていたが、しびれを切らして通訳を頼んだ。

男は1つ先の駅のバーで働いていたらしい。
仕事帰りに街をうろついていたところ、一人の日本人女性と知り合い、そのまま行きずりで女の家に上がったらしい。
女の家で一杯やっていると、ふと女は奥の部屋に消えた。
男は女を待っていた。

そのうち、風呂場からなにか物音がするのに気がついた。
何気なく風呂場を覗くと、そこにはさっきの女とは別の、顔が傷だらけで片腕が肘までしかない女が空の浴槽にうずくまって体を揺らしていた。
女は男に気づき、何か怒鳴った。
口の中が血だらけだった。
突然何か片の横をかすめた。
ナイフだった。
男は恐怖におののき、なぜかそのナイフを拾うと、そのまま部屋から逃げ出した。
女は追いかけてきたが、全力で走り、どのくらい走ったかわからないが、途中目に入った俺の部屋に助けを求めたという。
彼女が警察に行くようすすめたが、男はそれはダメだと頑なに断った。

大袈裟なジェスチャーで気づいたが、男の肩には確かに新しい深めの切り傷があった。
俺たちは半信半疑だったが、男を放って置くわけにもいかず、タクシーを呼んで、男を乗せた。
朝まで明るくで人がいる場所がいいというので、少し遠くにあるが、朝までやってるファミレスを行き先にと運転手に伝えた。
男がそのあとどうしたのかは知らない。
彼女が言うには、男は動転していたが、話ぶりからは酔っているようではなかったとか。
また、視線もまともでクスリでキマッたやつ特有の目もしていなかったとか。
別に俺の家に上げろとか変な要求をしてくることもなかった。
ただ、明るいところを教えてくれと。

以上だ。
信じられるかどうかわからんが、とにかくこの間あった変な出来事。
気持ち悪いから、どこの家だとか詮索する気もない。

紙人形

3年前の話。
「やっぱ夏は肝試しだろ!?」
という私の思いつきで、友人のH、Mと事故で死人が出たばかりのトンネルへ遊びに行きました。

そこは車で15分くらいの地元でも有名な心霊スポットで、酒の入った私たちのテンションはMAXでした。
着いて真っ先に目に入ったのは、花と線香とジュースとお菓子。
死んだのは20代くらいの男性だったらしいです。
一応私たちも持っていた缶チューハイとつまみを供えて、
「呪わんで下さいね~」
なんて言いながら道の際に車を停め、トンネルへ歩いて入っていったんです。

ですが予想に反し、夜中にも関わらず交通量の凄まじいこと。
私たちが期待していたものは全く現れそうにありません。
「おいおい!こんなんで幽霊見れんのかよ!!」「成仏しとんじゃね?」「ツマンネ」
などと言いながらまた3人で車へ引き返すと、その路駐させている車の向こうに背の高い草に挟まれた道があるのが見えました。
これは行くしかない!!
私たち3人は本当にバカでした。ただ単に怖いもの見たさと好奇心で、人がやっと通れるほどの細い道を進んでいったんです。

で、結構歩いた先にあったのはお約束とも思えるおんぼろ廃墟。
バカのテンションはMAX。
「これは絶対出るやろ!!」「なんやここ!!寺か!?」「やべぇ!絶対出るって!!ww」
誰も止めないんで、もうやりたい放題して廃墟の探索をおっぱじめました。

ですが廃墟…とはいったものの、私の住んでる田舎ではよく見る物置小屋で、農具とか、そういったどこの家にでもあるようなものが置かれているだけでした。
でも窓は割れていたし、鍵もかかってなかったので廃墟と勝手に決めつけて探索していたんです。
すると…ガシャンという音がした後、Mがぶっ倒れました。
私もHも冗談半分に「転んでんちゃうぞマヌケww」やら「お前モノ壊したら弁償やけんなww」
などとからかっていると、M。
「足首掴まれた!!」そう急いで起き上がって叫びました。
Hは「あほか」と飽きれ気味に言っていましたが、どうしても幽霊の見てみたい私は「まじか!?掴まれたん!?どこで!?」
などと一頻り聞いた後、Mの指差す方を携帯の画面で照らしました。

…で、あったものもお約束。
お札の貼られた葛篭。
そして間髪入れずに札を引っぺがし、中身を床へぶちまけるH。
これには流石のMもドン引きしていました。
ですが床へぶちまけられた葛篭の中身、おんぼろの市松人形(?)らしきもの以外は可愛らしいもので、おはじき、ビー玉、お手玉、筆、あとはなんか…人の形に切り抜かれた紙?
まぁ携帯の明かりでしか見ていませんが、かなりねんきの入ったものに見えました。

するとM。「お手玉とか…もし封印されとったんが俺らんトコに出てきても、あんま怖くなさげやなww」
私。「今日、布団の中に出てくるのは幼女かもなww座敷童的なww」
そんなバカ二人でキャッキャウフフな話をしていると、Hが冷静に一言。
「おかしい」
私もMも顔を見合わせて「はぁ?」なんて言いましたが、Hが言うには

・他のお手玉だか人形だかはかなり古いのに、この人の形しとる紙だけ真新しい。作ったばっかみたいや。
・そもそも座敷童をこんな厳重に封印すっか?
・あとこの紙切れに字ぃ書いてあるけど、血じゃね?

以上のことを冷静に聞き入れ、私たち3人は悲鳴を上げながら走って車まで帰りました。
そんで車に乗って、電気の下で自分の腕見てびっくり。
なんとその紙人形が貼り付いていました。
急いで引き剥がしましたが、紙人形についていたであろう血が私の腕にまでついて半狂乱状態。
ですが家に着く頃にはその血も擦りまくったせいで見えなくなってしまい、私もMも大人しくその日は家へ帰ることにしました。

…で。問題は家へ帰った後。
愛犬に吼えられまくるし、風呂に入ったら窓の向こうに人影が見えるし。
え?まじで憑いたの?
なんて期待半分、不安半分の状態で布団へ入り、少しうとうとし始めた時。

出ました。

赤い着物を着て、おかっぱ頭の前髪を可愛らしい紐で縛った色の白いお人形さんのような幼女。

ではなく、

くすんだ着物を着、髪は長く真っ青な顔をしていたガリッガリの男。
そいつが枕元で自分を見下ろしているんです。
私「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」←本当にこんなカンジ悲鳴が出ました。
幸い金縛りにはかかっておらず、私は転がるように部屋から脱出したのですがその日は他の家族がいなかった…
怖すぎて家にいることもできず、素足のまま外へ飛び出して一番家の近い友人宅へ転がり込み、「南無阿弥陀仏」を唱えながら一晩過ごしました。
(その友人からしたらいい迷惑だったでしょうね)
そして表が明るくなると急いで外へ飛び出し、知人が神主を務める神社へ転がり込んだんです。

するとその神主さん、私を見るなり凄く険しい顔を。
「ホント朝早くからすんません!!なんか、その昨日男が立っとって…」
あの時の自分は何を言っているのか全く分からなかったと思います。
ぶっちゃけ、何を言ったのか今でも思い出せませんから。
そして私の話を黙って聞いてくれていた神主さんは、
「腕のアザどうしたの?」そう私が落ち着くと優しく聞いてくれました。
私「アザ…?」 神主「そうそう、右手腕の」
一応確認しましたが、そんなものどこにもありません。
神主「…なんか、右腕に変なもん触らなかった?」

心当たりは一発で思い浮かびました。昨日、あの紙人形は右腕に貼りついたんです。
泣きそうになりながら昨日の肝試しのことと、葛篭のお札のこと、あと紙人形のことを説明すると、神主さんは一度深く考えた後に神社の奥へ戻り、少したってからまた戻ってきました。
なんか…棒の先に紙?みたいなのが付いた埃叩きのような神主ステッキ(私たちはこう呼んでいます)を持って。
そして私の右腕を掴んでぺしぺししたり、呪文唱えたり、なんか酒みたいなのかけたりしこたまやった後、
「…無理」
絶望的な言葉をぼそっと言いました。
なんでも、神主さんじゃ手に負えないとか。
どうやってもアザが消えないとか。
私の守護霊様が消えちゃってるとか
守護霊が消えたらどうにもならないとか…
そんなことを沢山言っていたような気がします。

「…ごめんね」
神社を出る時、神主さんの方が半泣きになりながら、最後には私に全種類のお守りを持たせてくれました。
本当に申し訳ないことをしたと思いましたが、これから、自分はあと何年生きられるのか切実に不安になりました。
「大丈夫!お守りがあったら3ヵ月は持つから!!」
その言葉が本当に苦しかった…。

神社を出た後、家に帰る気も起きなくてHの家へ行ったんです。
もしかしてアイツも憑りつかれて、私と同じような奴に追っかけまわされてるんじゃ…?
なんて少し不安になったんで。
でも杞憂というやつでした。
H。元気そうに庭の草むしりしてましたから。
そこで自分の身にあったことを報告したら、H爆笑。
しまいにはMも呼んで心霊写真撮れるかどうか実験しようとか言いだす始末。

その日は腹立って帰ったんですが、もとはHが葛篭の札破いて中身ぶちまけたのが原因じゃないですか。
私の所に化けて出てくるなんて逆恨みもいいところだ。
そう怒りの方が大きくなっていって、誰もいない家へ帰ったんです。
3年前は今以上に馬鹿でしたからね。
憑いてるやつとタイマンはって、捻じ伏せてやろうという安直な考えで動いたんです。
呪いより拳のが強いだろうと本気で思っていたんで。

…で。自宅で一人になってようやく気付いたんですが、本当にポルターガイストってあるんですね。
冷蔵庫急に開くわ、中から牛乳倒れてきて床にぶちまけるわ、テレビが3分に1回くらい電源落ちるわ散々でした。
そしてようやく夜になって、いよいよ決戦かと自分の中で腹をくくって風呂入って水飲みに台所行ったら、犬が壁の方へ向かってめっちゃ吼えてたんです。
私そこにヤツがいると思い、急いで食塩投げたら犬が吠えるのやめちゃって…
私そこで退治した気になったんです。
「やべぇww食塩マジ強ぇやんww」
なんて言いつつ自分の部屋へ行って布団に入ったら、部屋の本棚が倒れました。

そしたらどんどん他のも倒れ始めて、もう怖くて怖くて布団から出て立ち上がったら、左隣に昨日の奴がこっち向いてぴったりと立ってたんです。身長は当時162cmの私と同じくらいでしょうか。
もう悲鳴も出ませんでした。
急いでまた台所まで行って、次は愛犬(さくら♀、ルート♂)を抱えて私の部屋へ放り込みました。
(今思えば最低な飼い主ですね)
しばらくぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん犬の騒ぐ音が聞こえた後、静かになったので中を覗くと、もうそこには誰もいませんでした。
アイツの弱点は犬だ。
バカなりにいい点はついていたようです。
その日犬と一緒に寝ると、もう怪異には遭いませんでした。

そして次の日。
Hに車を出してもらい、Mも一緒に例の心霊スポットまでまた行きました。
また適当に路駐して、細道を辿って、着いた先は先日の物置小屋…と思いきや、そこは壁で行き止まりになっていました。
道を間違えたかといろいろな場所を探しましたが、小さいとはいえ小屋を置くスペースなんかどうみてもありません。
何時間も彷徨っていたんですが、あの日はみんな酔っていた。
そう結論付けて解散となりました。私としては酔っていたじゃすまなかったんですがね…

それからも怪異は幾度となく続きました。
昼夜問わずアイツの姿を物陰なんかでは必ず見るし、なんの前触れもなく近くのものが落ちる。
視線を感じるとかはしょっちゅうでしたが、だんだんそんなことにも慣れていきました。
悪霊らしく危害を加えるといったこともなかったので、仕舞には容姿から「ホラーマン」などとあだ名をつけて呼ぶようになっていました。今ではとてもいい思い出です。

撤去

田舎の山道の急カーブなんかで「先日ここで死亡事故あり」なんて建て看板があったりするだろ。
「先日なんていってるがこの看板もう何年も前からあるぞ」なんてツッコミ入れたくなるようなの。
本当は事故1~2年でそういうの撤去してもいいんだけど、出来ない理由とかあるんですよ。

ある事故現場にかけられてた古い建て看板が錆などで、文字も見えにくくなってたんで撤去したんだけど、撤去したその晩にいきなり事故。
幸い運転手や同乗者は軽症で済んだんだが共通して言ってるのは
「セーターを来た女が立ってて避けようとしたら事故にあった」というものだ。
夏なのにセーター?しかもそんな時間に女一人で?
ここで年配の警官が「あ!」と叫んだ。

なんでも、昼に撤去した看板を建てたきっかけになった死亡事故ってのが、真冬の事で死亡した女性が着ていた服がセーターだったのだ。
果たしてその死んだ女性が撤去された看板の代わりに、自らが警告を出していたのだろうか?
しかしその割には事故が起こったんだから、役に立っていない。(軽症で済んだけど)

後日その現場には新しい看板が掲げられた。

引っ越して三ヶ月、大家のじいさんが亡くなった。
すると息子がやってきて、ボロアパートを新築するから出て行って欲しいと言った。
貧乏学生だった俺は当然のようにごねた。
引っ越す金と時間がない。当分無理。
40くらいの息子は条件を出してきたので、似たようなアパートをそっちで手配してくれ。それと敷金、礼金、引越し代全て負担するなら、すぐにでも出て行く。

俺が妥協案を出すと、その週の土曜日に運送屋がやってきた。
そして、あっという間にそのアパートからちょっと離れた物件に入居することになった。

木造モルタル二階建て、1DK、ユニットバス付、築30年くらい。
外観は若干マシ、何よりも家賃が同じで、ユニットバス付が嬉しかった。
内心息子と不動産屋に感謝したくらいだった。
銭湯通いと共同トイレから解放されたが、コンビニや外食には不便なこともあり、それまで寝るだけだった部屋で過ごす時間が増えた。
この部屋なら女の子を招くこともできるし、金があればデリヘルも呼べる。
そんな期待さえでてきたが、仕送りなしの貧乏暇なし生活が変るはずもなく、彼女とかは儚い夢に過ぎなかった。

あいかわらずバイトと学校で毎日くたくた。だが引越して以来、休みの日は外出もせず、部屋で過ごすことも多くなった。

そんなある休日。部屋で地味に試験勉強してたら、壁越しに女性の笑い声が聞こえてきた。
角部屋の隣人はサラリーマン。ほとんど不在で、これまで話し声はおろか、テレビの音さえ聞こえてきたことはない。
しかし見た目は普通で30代前半、彼女がいてもおかしくない。
俺は勉強よりも隣人がやるであろう行為が気になった。
男と女が部屋にいれば、いつ始まってもおかしくない。

思い余った俺は壁にコップを押し当て、耳を澄まして気配を窺った。
物音はせず、なぜか甲高い女の笑いしか聴こえない。
後に気がつくが、それが事の起こりだった。

その日から一週間くらいして、夜になり再び女の声が漏れ聴こえた。
俺はそっと部屋を出て、外から六世帯の部屋をチェックした。
十時過ぎくらいだったと思うが、隣も下も部屋の明かりは消え、人の気配はなかった。
平日ならだいたい隣人が部屋にいる時間帯だったが、ドアの開け閉めくらいしか聴こえてこない。
みんな他人の迷惑にならないよう、ひっそり暮らしている感じだった。

アパートは最寄の駅から徒歩20分以上、まさに閑静な住宅地で、時々人恋しくなることもあるくらい静かだった。

いったいあの声はどこから聞こえてくるんだ?
気になって仕方がなくなった頃には、三日おきくらいに女の笑い声に聞き耳を立てていた。
住人に女性は一人もいない。それがどこから聞こえてくるのか、誰なのか、そして何を笑っているのか、俺は半年後に神経を病んだ。

いつしか女の笑い声はせつない喘ぎ声に変り、俺は眠れなくなっていた。
もう壁に耳を当てる必要もなかった。
女の声は俺の頭の中で聞こえ、俺の名前を囁き、俺を誘惑するようになった。
恐怖は全然なかった。ずっと夢だと思っていたし、女の呼ぶ声で眠りに落ちるようになっていた。

やがて学校やバイト先でも睡眠不足からミスが重なり、数人の友人が気にかけてくれるようになった。
そのうちの一人がなぜか
「最近彼女できたろ。やり過ぎは気をつけろよ」と、目の下にできたクマを笑った。
最も仲のいい友人から「どこで知り合ったんだよ、今度紹介しろよ」
と言われ、俺は答えたそうだ。
「紹介はちょっと無理かな」俺は覚えていないが、はっきり言ったらしい。
「彼女は39歳の会社員で、ずうーと勤務先の男と不倫を繰り返してきたんだ。やっと独身の男と知りあえて、結婚まで決めてたけど捨てらたんだ。年はいってるけど凄い美人だよ。会社の受付嬢や秘書をやってたくらいだから」
友人は驚いて訊ねたという。
「どうやって彼女にしたんだ?てか、写真とかないの?」
この時の俺は笑みを浮かべ、うっとりとした表情だったらしい。

「だから無理だって。彼女は首吊って自殺したんだよ。ずっと前に死んでる。あと、知り合ったのは今住んでる部屋」

俺は友人によって命を救われたようだ。
けれど、今でも最愛の彼女を失ったような気がする。

時空の旅人

当時キャバクラのボーイをとある事情で辞めて、バーテンダー見習いとして働き出し、1年程たった頃一人の若い青年がお店にやってきた。

「こんばんわ、久しぶりだね」

「え、あー・・いらっしゃいませ」
まずい事になにも覚えちゃいない。
彼の名前はおろか、顔すらも覚えていないのだ。

「あぁ、この世界ではまだ知り合ってもいないんだね」

おっとぉ、話しがややこしくなってきたぞ・・・

「申し訳ございません、仰る意味がよく・・・」

「ごめんね、なにか酔える強い酒をお願い」

そう言うと彼は、カウンターで向かい越しに座りだす。
なにか喋りたそうに俺の顔を伺いながら尻尾を振るのが見える。

「先ほどの事なんですがどういう意味があったんでしょうか?」
聞いてやるよ、聞いて欲しいんだろw
新手の宗教かそれとも・・

「いえね、僕はこの世界の人間ではないんですよ」
「厳密に言えばこの世界になる可能性があった世界の住人という事です」

つまり・・え・・なに?
どういう事?

「つまりですね、君がサイコロを振って1が出たとする」
「でも私はそこで2を出した。その時点で僕と君は違う地球に住む事になるんだ」

「では、私とお客さんはそちら2の世界で知り合っていた・・と?」

「そゆこと」
自称時空の旅人がチーンと出したばかりのグラスを指で弾く。

なるほどね、早々にお帰り頂く努力をしよう。
お金を持っていればお客様だが、俺のキャパシティを破壊されては業務に支障が出るってもんだ

「お客さんがいた世界では、世界はどのようになっているんですか?」

「それがさぁ、聞いてくれよぉ・・」

なんでも彼のいた世界ではビックリする事に地球はもう無いらしい。
巨大彗星だか隕石だかが地球に近づき、引力に引き寄せられ、本来の軌道から外れ宇宙を旅する生命が存在しない死の惑星になったのだとか・・・

さらに驚く事に宇宙人(兄弟と言ってたが)がその直前に現れ肉体を捨て、精神をとある器に収める事で色々旅が出来るようになったのだとか・・・
なんのこっちゃw
後半は酔いが回ったのか呂律もうまく回ってない。

「面白いですね、ではお客さんはサイコロの目の1~6の色々な地球を旅して回ってるんですね」

「ご明察!疑いながらも人に合わせるその態度!やはり君はどの世界でも変わらないねぇ」

「他の世界の私はどのような仕事でなにをしているんですか?」

「んー、ほぼ全部死んでるよー」

聞かなきゃよかったw
つか言わなきゃ知りえないのだから嘘でも言うなよ・・

「君はまだ知らないだろうけど、この先金髪の女性と付き合う事になる。どの世界でもその人と付き合った後すぐ死ぬから付き合わないようにネ」

ついでに死刑宣告ですか。

「でもなぜ私にそんな事を言うんですか?」

「死なれちゃ困るからね。どの世界にも友人がいないなんて寂しいだろう?」
酔いのせいなのか目が逝ってる。

違う世界で俺は本当に彼の友人だったんだろうか・・・
いわれて見れば旧知の仲にも感じる不思議な感覚がある・・ようなないようなw

「ご馳走様、じゃあもう行くわ。この世界は今まで見てきた中で一番酷く醜い世界だった」

そう言うと彼はポケットからジャラジャラッと大量の500円コインを取り出し
「足りるだろ?お釣りはいいよ。」
と言い酔いの隠せない足取りで店を出て行った。

なんだったんだ・・
大量のコインをレジに押し込む。
すると、その中の一つに目が留まった。

元成3年

彼が本物なのか偽者なのかもう判らないが、アレからあの青年は一度も来店されてはいない。

今でもその一枚の500円コインは俺の家で眠っている。

霊障

死ぬ程ってほどでもないんだけど、実体験で。
俺の部屋は2階にあるのよ。で、それが増築だからか、腕の悪い業者だったからか分からんけど、結構階段の角度が急なのね。まあそれでも特に問題なく昇り降りしてるんだけど。
俺が中2だった頃のある日の朝、寝起きでぼんやりとはしてたけど、そんなのはいつものことで、いつも通り降りようとしていたら階段から落ちちゃったのよ。頭から。足踏み外すとかじゃなくて。
なんでそんな落ち方になったかっていうと、何かに後ろから押されたような感じだったんだ。
で、鼻血ダクダクだし、落ちたところの廊下は割れてへこんでるくらいの落ち方だったんで、親が救急車呼んで入院ってなって。案の定、鼻の骨折れててさ。

んで顔の右頬のところも内出血で腫れてて、2週間くらい入院ってことになったんだけど。
まあ、鼻の骨は元の位置に戻したら自然に戻るから~とか言われて2週間過ごしてたんだけど、
一向に頬の腫れが引かないのね。
んで、レントゲンとか触診とか医者の先生がやってくれるんだけど、内出血もおさまってるし、腫れが引いてもいいんだけどなあ、とか首かしげるばかりで。
流石に親もおかしいと思って、霊視とかお祓いとかやってくれる人に相談してみたのね。

そしたら、家の床の間に飾ってある日本人形の同じところに悪い霊が入ってて、そいつが霊障を起こしてるんだと。
そいつを除霊するには八十数個のお守り用意して、九十数日間供養しないと祓えないんで、それは大変だから川に流しなさいって。
流すのも、俺や父はそういう悪いモノを背負いやすい性質だから、お母さんが流しなさいと。
で、俺自身はその人のところでお祓いしてもらうことになって、退院後、その人の家に行ったんだよ。

あ、病院では結局、「顔の腫れは命に別状はないですし、鼻の骨が大方治癒してるから大丈夫でしょう」ってことで2週間で退院。
その人、俺の顔を見るなり、「あ~、憑いてるねえ」って言って、横にあったポケットティッシュ1枚引きぬいて、きれいにたたんで、俺の腫れた頬をそのティッシュでスッと撫でて「これで大丈夫」って。

これでお祓い終了、で帰宅して、母がその人形を近くの川に流しに行ったんだけど、その時見た人形の顔つきが、昔から見慣れてる人形のはずなのに、何故か違って見えた。
なんというか、目が若干つり上がって睨みつけるような感じだった。気のせいかもしれんけど。
母自身は何事も無く川に人形を流して帰ってきて、これでやることは全部やった。
こんなので大丈夫なのかな、とその日は思ったんだけど、そしたら二日後には完全に腫れが無くなってるの。結構膨れ上がるような腫れだったのに。

今でも、オカルトものはイマイチ信じてないけれど、この実体験だけはどうしようもなく事実で否定出来ない。
オチも怖さもなくてスマン。

上司の昔話

会社の上司の昔話で、十五年くらい前のことだという。
当時まだ駆け出しだった上司が、某県某町に新設の事務所に配属された。
工場併設のその事務所は市街地を遠く離れた山の中にぽつんとあって、夜には車通りも無い淋しい場所だった。
事務所の前から県道を右にしばらく行くと某町のジャスコに行き当たる。左にしばらく行くと隣の某村に入るが、村の中心部の集落まではしばらくかかる、そんな立地だった。

その日の上司は、仕事を抱え込んで一人残業の末、疲れきって事務所を閉めた。
一人暮らしのアパートへと車を走らせていたところ、うっかり道を間違えていることに気付いた。
右に出るべきを左に出て、車はすでに某村に入ってしばらく経っているようだった。
車通りも無いので素直に切り返して戻ればよかったものを、上司は脇道に入った。
ぐるっとまわれば元の道に出られるだろうと考えたからだが、区画整理がされたわけでもない田舎道は、そうは行かないものだ。
走るだけ走ってさらに見つけた道に飛び込むことを数回繰返したが、どこをどう走ったかもすでに定かではなく、周囲は真っ暗で道はすでに細い。切り返しももう無理だった。

しかし、アスファルトと土肌が断続的に現れる道には轍が続いており、おそらくここは地域住民の生活道、きっと先には集落があると踏んで、先に進み続けた。
読み通り、小さな集落に行き着いた。何軒か先には明かりのついた家が散見される。
方向感覚に間違いが無ければ村の中心部では無いようだったが、帰り道が聞ければそれでいい。
遅い時間で恐縮ではあったが、なりふりを構ってもいられない。

上司は明かりのついた家の前で車を停め、ライトを消した。火をつけていたタバコを吸い切ってから、意を決して車を降りるとぎょっとした。
暗がりに、おそらくは十人以上の村人が立っていたのだ。
村人は老人ばかりで、一様に睨みつける顔付きからして明らかに歓迎されていなかった。
一人が大声を出す。するとほかの村人も続けて叫び出した。
何しに来た、帰れ他所者!どろぼう!…は、やらないぞ!やらんぞ!帰れ!
聞取れない部分もあったが、土地の方言でだいたいこんなことを言っているようだった。
上司は誤解を解こうと釈明をしながらもたじろぎ、後ずさりした。
背後に気配を感じ振り向くと、そこにはさらに十人ほどの村人がいた。彼らもまた何やら叫び出したが、上司が驚いたのはそこではなかった。

上司の顔のすぐ下で、小柄な老婆が、数珠を持って上司を見上げるように何かを唱えていたのだ。
尋常ならない空気に圧倒され、上司は車に舞い戻りアクセルを踏んだ。
村人は、上司を追い返そうとしているだけのようで、追ってくる様子はなかった。
はるか背後で、たぶん老婆のものであろう叫び声を聞いた。
後で知った事実から考えれば、唱えていた念仏の総仕上げの掛声のようなもので、それは自分に向けられたものであったのだろう。
結局、集落を抜けて無我夢中で走ったところ、村を抜けて隣県に行着いた。国道を大きくまわって自宅に帰れたのは朝方であった。

翌日から、上司は目に見えて体調を崩した。
仕事が出来ないほどではなかったが、体が重く食欲が失せ、無理に食べても三日で体重が5キロ落ちたという。
一週間も経つ頃には形相も変わり同僚にも本気で心配され始め、町立の総合病院に行ったが、どこにも異常はなかった。
村での体験にショックを受けただけと思い、意気地の無い自分を奮い立たせたが、回復しなかった。

ある日、町役場の企業立地担当を訪問する用事があった。
役場の担当者は若く歳も近かったので仲が良かった。飲んだ際に霊感があるという話を聞いたことがあったが、その手の話を信じない上司は、からかった受応えをしたものだった。
用件もそこそこに、その彼が切り出した。
どうせまた茶化すんだろうが、体調に関わることだから真面目に聞いてほしい、と。
曰く、上司の体調は呪いによる憑き物のためであり、お祓いを受けたほうがいいので、慣れた寺を紹介をするということだった。
上司は、彼の霊感を信じたわけではなかったが、藁にもすがる思いで、彼が電話を入れてくれた寺に向かった。

寺の住職は、落ち着き払った様子で上司を迎え、極めて淡々とお祓いをしてくれた。
お祓いが済んだ後、嘘のように回復した上司は、それでもまだ呪いには半信半疑のまま、あの集落での体験を住職に話した。
住職は、あの集落が、土着のある風習を今でも頑なに守り続けていることを教えてくれた。
風習とは、その昔宿を貸した他所者に、赤ん坊をさらわれたことに端を発する集落の自己防衛策であり、村に生まれて間もない赤ん坊がいるときには、外部からの人間を迎え入れてはいけないというものだという。
風習はいつからかエスカレートし、追払った他所者が二度と村に舞い戻らないよう、祈祷師により、他所者を呪い殺すようになったのだという。
上司は、あの晩に見た老婆とその叫び声を思い出したが、それでも呪いなど信じたくなかった。

しかし、あの村で見たのは男も女も年寄りばかりだった気がするし、若い者が出て来ないのは何故だろうか。
そもそも、いくら田舎とは言えこの現代にあって、若い世代がそんな風習に縛られて生きていることは信じがたかった。
そんなようなことを素朴な疑問として、上司は住職に尋ねた。

住職は一瞬目を丸くしたが、上司がまだすべてを理解していないと知り、微笑みながら教えてくれた。

あの集落は日本全国でもかなり早い段階で高齢化を迎え、残った老人達は頑なに周囲との交流を拒み、居もしない赤ん坊を守るという建前で、他所者を追払い続けたこと。
そしてその末に、集落が絶えてもう三十年以上経つことを。

それを聞いたときに全身を走った悪寒を、上司は今も忘れないと言った。
以来、上司は霊の存在を信じるようになったのだという。




後日談。
役場絡みの合同商談会みたいなイベントの後で、役場の担当者の運転で上司はあの集落に行ったらしい。
もちろんまだ日の高い時間帯。
役場の彼はすこぶる嫌がったらしいけど、上司は真剣。同乗していた取引先の人はノリノリだったとか。
あの晩に来た道とはたぶん反対方面から集落に行き着いたんだけど、崩れ落ちそうな廃墟ばかりで同じ場所とは信じられなかったそうだ。
だけど、集落の奥まで歩いて振り返って見た風景は、あの晩見た集落に間違いなく、上司は愕然とした。

正確には、その確認までして初めて、上司は霊の存在を信じるようになった。
役場の彼には、廃墟の陰からこちらを凝視する村人が数人見えていたらしく、最後まで車からは降りてこなかったんだと。

念のため、と取引先の人と三人であの寺にお祓いに行ったら、優しかったあの住職に今度はこっぴどく説教されたそうだ。

豚の餌

アレはいつだったか・・・

当時バーテンダー見習いとして働いていたんだが、これが相当酷いもんだった。
慕っていた頼れる先輩が飛び、誰かに師事するという事も出来ず、無様にカコカコ鳴らし見よう見まねでクソマズイ、カクテルもどきを作り、イッチョまえにカッコつけてお客さんにお出しするという、とんでもないバーテンダーになっていた。

配合量などは十分合っている筈なのに技術が無いため、素人は騙せてもお酒好きは騙せない酒を作っていた。
情けない・・・

最高のバーテンダーだった先輩目当てに通っていた客も徐々に足が遠のき、以前とは客層も少々変わってしまっていた。
ハンチクな腕前、未熟な話術、先輩には遠く及ばない容姿、マズイ酒・・・
流行る方がオカシイってもんだ。

そんなある日一人のスーツ姿の背の高い、いかにもその道の人だろう客が来た。
見た目は20代・・いや、30代・・待てよ・・40代・・・
俺より若くも見えるし遥かに上のようにも見える。

こういう時は大抵年上という黄金パターンがあるもんだが、触らぬ神に祟りなしw
触れずに置こうw

「適当に頼む」

「好きな酒や嫌いな酒、好みなどはありますか?」

「黙って作れ」

「・・・はい・・」

心温まる会話をありがとう。
俺のクソマズイ自信作を食らいやがれ。

「マズイ」
デスヨネー

「申し訳ございません、とある事情で未熟者がここに立たせて頂いてます。お気に召さないようでしたらウィスキーや焼酎などご用意させていただきます」

「それを寄こせ、濃い方がいい」

好みあるんじゃねーか、先に言えや!!

まぁまぁよく飲む事5杯目を飲み干し、また新しく注ぐ頃、彼は静かに語りだした。
「バーテン、お前は自分の手を汚した事があるか?」

「いえ、私は良くも悪くもただの一般人です。一般人の範囲でお答えできるなら綺麗な方ではないのかもしれませんが」

「そうか、俺は毎日のように汚してる。今日も汚してきた・・・どんなに洗ってもこの汚れは落ちないな」

コエーよヤべーよ逃げてーYO!

「お前、豚は食った事はあるか?」

「えぇ?まぁ人並みに好きではありますね?」

「そうか。では豚のエサってなにか知ってるか?」

「肉を柔らかくするためにワインなどを混ぜたり・・米とか食べると聞きますね」

「あぁ、まともな所ならまともな物を食べさせてる」
「だがな、アレらは雑食なんだ。なんでも綺麗に食べる。それこそ骨すら残さずに」

ピーンときたね。
とても悪い方向に・・・
いや・・まさか・・

青ざめる俺の顔を見て彼は表情を和らげ
「ごちそうさん、お前が成長しうまい酒を作れるようになった頃また来る」

そういうと彼は確かな足取りで会計を済まし、無表情で店を出て行った。
入れ替わりで若いカップルが来る。

アリガトウゴザイマシター・・
出来れば二度と来て頂きたくないデスガ・・・

それ以降俺の食べれない物のリストに豚が並んだ。
今もそれは継続してる。

バーテンダーの世界

アレは2年前ぐらいかな。

当時キャバクラのボーイだった俺はとある事情でそこを退社し、以前から憧れていたバーテンダーの修行に入ったんだよ。
なんせお酒もタバコも好きだしついでに女も好きw
これしかねぇ、とかあの時は本気で思ってた。

皆にとってはバーテンダーって興味はあるけど実態が見えない。
そんな職業だよな。
軽く説明するけど思っている程華やかな世界ではない。
水商売だし、やってる事は地味な事を積み重ねてお客の前でカッコつける。地味な所をいかに見せずにカッコよく見せるか。
本気で目指すなら遊んでる暇なんてなく、勉強の毎日。
給料雀の涙で頑張ってる。

本気で目指す人間じゃなきゃ到底続かない世界。
まぁこんな感じよ。

でな、当然新人の俺には先輩バーテンダーが色々教えてくれる訳よ。
その先輩ってのはそりゃぁもう、滅茶苦茶カッコいい人だった。
一つ一つの動きがカッコよくて、地味な所もかっこよく魅せる。
その店の売り上げの2/3は、その人のファンからだと言えるかもしれない。

顔も良ければ性格もいい。
こんな俺にも優しい物腰に敬語で丁寧に仕事を教えてくれる。
おまけに声もイイ。

性格の捻じ曲がった俺は、当時から彼をライバル視して意地でも負けない、と無駄な努力をしていた。

そんなパーフェクト人間の先輩にも悩みはあった。
それはこの先輩に、どうして?と思えるような彼女の存在。
言っちゃ悪いが、お世辞にも美人とは言えないどこにでもいそうな女性。
オマケに相当嫉妬深い性格で、普通バーテンダーの恋人はお店には来ないものなんだけどその子は彼氏が心配と、毎日のように足しげくお店に通って来る。

先輩はそれをずっと悩んでるみたいで、バーテンダーという職業は客と話してなんぼ。
彼は客に嘘は決してつかないが、惚れさせてお店に通わせるという手段を好んで使う。
惚れた女性は太いお客さんになってくれるからね。

そこに睨みを利かせた彼女がいたら誰も得しない。
彼の悩みはそういう物だった。

営業時間が終わった時に一度聞いた事がある。
「彼女と別れないんですか?先輩ならもっと美人を狙えますよ」

「いや、愛してるからね」とニコリと笑い、話を切られる。

ある日、店の裏で先輩とその子が口論している所に出くわしてしまった事がある。
途中から聞き耳を立てたのでおおよそしか掴めなかったが、内容はこうだ。

先輩がお客の女性に悩みを打ち明けられ、お店を閉めた後二人でどこかへ消えた。
それが彼女さんがいなかった時の事であり、その日確実に浮気した。
こういう事らしい。

その日初めて先輩が怒る所を見た、ついでに女性に手を上げたのも見た。

その後しばらくその子は店に現れなかったんだが先輩は落ち込む事なく、いつもの顔で女性を喜ばせていた。
強い人だね。

だがそれも数日経った後、あの先輩が無断欠席をぶちかましてくれおった。
まさか先輩が飛んだ(バックれ)!?

もうお店はてんてこ舞いよw
シェイカーの振り方も料理も俺じゃなんにもわからん。
オーナーさんも緊急で店に出てきてくれたが、余計邪魔w

とりあえず今日は店を早く閉める、そして料理や酒はバーテンダー不在のため出来合いの完成された物を出す、という事でなんとかその場を凌いだが、先輩とは相変わらず連絡も取れないまま数日が経った・・・

急ごしらえのバーテンダーとしてカウンターに立ってた俺は先輩の見よう見まねでお客と話し、正直クソマズイ酒を出す為、オーナーは修行セールと称しカクテルは格安で提供する羽目になった・・正直スンマセンオーナー・・・

でな、なんとか形になってきた頃、先輩の彼女が来店してきたのよ。

「今は貴方がバーテンダーなのね」

「えぇ、先輩が急にいなくなってしまいましてハンチク坊主ですがカウンターに立たせてもらってます。彼女さんは先輩がどこへ行ったかご存知ないですか?」

「知ってるわよ、ただ、もうバーテンダーとして生きていけないわね・・」

「それはどういう意味ですか?」

「フフッ、さぁね?」

彼女はそう言うと意味ありげに左手を出してきた。
その薬指には光る指輪。

あぁ!なるほど!

たしかに夜の世界に生きていては結婚は厳しいだろう。
昼夜は逆転するし、収入もはっきり言って家族を養える程あるとは思えない。
足を洗いまともに生きる事を先輩なら選択するだろう。
でも一言くらい声かけてほしかったなぁ・・・
なにも飛ばなくても・・・w

「おめでとうございます!そういう理由でしたか!」

「ウフフッ。有り難う」

「ではお店から一杯出させていただきます!未熟者ですがなにがいいですか」

「そうねぇ・・じゃあコレを使って最高の一杯を貰おうかしら」

ゴロン

あの時は思考が止まったね。
なんせそこに出されたのは小さいビニールに包まれた指だった。
血が抜かれているのか、全体が紫、というより黒ずんでいて恐らく親指だろう・・・それも男性の・・・

「聞いていたんでしょう?貴方」

「え?」

「あの時確かに貴方がいた・・聞き耳を立てていた事は知っていたのよ」

バレテルー・・・
会話を一旦途切れさせ、思考を纏めるためにタバコに火を点ける。

「では、それを使って最高の一杯をお作りしましょう。マドラーとして使うだけですが、とても優しい味になるでしょう」

・・・終わった・・
沈黙が痛い・・・

「面白いわね、貴方」
「今日来たのは釘を刺すためだったけど、貴方はプロみたいだから安心したわ」

そう言って彼女は最高の笑顔を見せ、指を持ち店を出て行った。

先輩とその子にはもう会う事はないんだろう。
夜の職業だと色んな人種に出会える。
そして出会いの数だけ別れもある。
色んな形でね・・・

あれから先輩とその子がどうなったか、親しい友人達もわからないみたいだ・・

ストーカー…?

終バス待ちの列に10分位並んでた(40人中20番目位)ら自分の前に並んでたおばさんの子供らしき中学生が駅の方からやって来ておばさんの横に立って話し始めた。
割り込み(向こうにとっては「合流」)されそうだな~と思ってたら案の定、バスが来て列が動き始めたら自分とおばさんの間に入ろうとしたので、手をスッと出して「並んでいますよ」と言ったら中学生はびっくりした顔をして列の後ろに走って行った。

バスに乗車して空いてる席に座ったら前の席におばさんがいて、後から乗り込んで来た子供に「急にいなくなってどうしたの」とか聞いて子供を座らせていた。
子供が母親に耳打ちすると母親は険しい顔をして「子供を守る」感じの姿勢になった。
そのままバスに乗ってたら、降りるバス亭が同じだった。
子供がこっちをチラチラ(ビクビクした様子で)見てたから脅かさないように間に数人入るようにして降りたけど、間に入れた人が全員反対方向に歩き始めて、結果的に親子の5m位後ろを自分が歩くような形になった。

普通に話してた子供が、後ろを歩く自分に気づいてギョっとして母親に何か言い、二人は逃げるように早足で歩き始めた。
キ○ガイに後をつけられた!とか思ってるのかな('A`) と察して、親子との距離が開くようにタラタラ歩いてたら親子が自分と同じマンションに入って行った。
(うわー同じマンションか‥)と思って、更にタラタラ速度を落として二人がマンションに入るのを見届けて、しばらくしてから自分もオートロックを解除したら後方から親子が出て来た。(郵便物を見に行ってたらしい)私を見てビクっと立ち止まった。
(自分がマンションの鍵を入れるところは見られてないので多分、「他の住人の後ろについて侵入した」とか思われた可能性大)

面倒なので気づかないふりをして、いつも通る渡り廊下(待ち伏せできると思われそう)ではなく中庭を突っ切って(後ろから私の移動が見えて安心のはず)歩いて行った。
これで安心と思ったら、中庭(1階)から3階の渡り廊下を歩く親子が見えた。
(マンション玄関が中庭の南にあり3階の渡り廊下に直結。ロビーから階段で降りて行ける中庭を囲む北東西に3棟ある)
渡り廊下のてすりごしにまたもや子供が私を発見し、恐怖に顔を引き攣らせた('A`)
もう完全にジェイソンかなんかの扱い('A`)
完全に「家を特定しようとするキ○ガイ」認定('A`)
立ち止まるのも不自然なので、ゆっくりゆっくり歩いてたら、親子が猛ダッシュで逃げて行った。

‥はずなのに、何故か親子が「エレベーターで1階まで降りた後階段で2階に上がる」というフェイント技をかましたせいで、2階に住む私が階段を上がったら、ちょうど親子の背中が5m前方に見えた。
私のヒールの音を聞いた子供がキャッと叫び、再び猛ダッシュ('A`)
さすがに疲れて、3分待機してから帰宅したけど、無駄に他人を脅かしてしまった事に('A`)

どらえもん

中学生の頃いった修学旅行で泊まったホテルの内ひとつがとても狭かった。
7人の中学生が4人部屋に布団を引いて寝なければならず、しかも自分の班は運動部員でガタイのでかい奴が多くて、まさに鮨詰め状態で寝ることに。
ただでさえ枕が変わると寝れないタイプだし、しかも同性と密着して寝るという状態に耐えれず、深夜一人起きた自分は、押し入れに目をつけた。
布団も全部だしてあったから押し入れはガラガラでこりゃいいやと、夏だったのでタオルケットと枕だけ押し入れに入れてそこで寝た。

目覚ましを早朝にセットして、みんなが起きる前に元の場所に戻るつもりだったんだけど、押し入れの外でなんか騒がしいので目が覚めた。
押し入れの中から耳をたててみると

「いたか?」「いません!」
「全部の部屋見回りましたがどこにも・・・」
と、教師の声が。なんでここに教師が?!
何してんのと思っていると
「◯◯(←自分の名前)はほんとどこに・・・」
と聞こえて二度ビックリ。どうやら、自分が押し入れで寝た後、同室の奴が起きて、自分がいないのに気づいてトイレかな?とトイレにいってみても当然おらず、いくら待っても戻ってこなかったので、教師に相談しに行ってこうなったらしい。
そして誰も自分が押し入れにいることに気づいてない。慌てる自分。

教師が怖くて出ていけなくて、おろおろしている内にホテルの従業員らしき人の声も聞こえてきて、警察に届けた方が・・・みたいな話になりだして、意を決して思いっきり壁に寝返りでぶつかる俺!
いきなり思っても見ない所からした音にビックリして一瞬静まる押し入れの外!押し入れの扉を背に寝たふり続行の俺!
そろそろと押し入れの扉が空く音がして、
「ここにいた!」「なんだよこいつ爆睡してやがる」
ほーっとみんなが安心した声を背中で聞いた時修羅場は抜けた!と安堵した。
翌日同室の奴にいじり回され、その後俺のあだ名が
「どらえもん」になったのは当然の結果だった。

日本人なら並んどくべきっしょw

コンサート終了後の会場にて男性二人の会話
A「なんだこの行列?」
B「わかんねーけど日本人なら並んどくべきっしょw」
A「だなw」

その先は女子トイレです

手作りタケコプターは危険

大掃除したら何かのぜんまいが出てきて、巻いてみたらまだ動いたからちょっと工作してタケコプター的な物を作った。
ちゃんと先っちょが動くようにできたので調子に乗って頭に装着、スイッチオン。
ブィィィィンという音とともに盛大に髪の毛が巻き込まれて悶絶。
ちょうどそこへamazonからの荷物を持った佐川のお姉さんが来たので泣きながら判子押したら
「だ、大丈夫ですか…」と半分困って半分笑った顔で取ってくれた。
今年の初恥。

マックのドライブスルーで言われた一言

マックのドライブスルーで「こちらでお召し上がりですか?」と元気良く言われた。('A`)
「いえ、持ち帰りです。」と答えたら「失礼しました!」と謝ってくれた。

二分少々よろしいでしょうか

俺「てりやきとポテトM」

店員「身分証書よろしいでしょうか?」

俺「??はい、学生証でいいですか?」チラッ

店員「ん?え?あ、はい、ではこちらにズレてお待ちください」

俺は、どの部分に年齢確認が必要なのか問いただしたかったが、混んでるので何も言わず待って、ポテトを受け取ったんだ。


そして、帰り道で気づいたんだ。

「二分少々よろしいでしょうか」

揚げたてのポテトは塩っぱかった。

おっぱいちょうだい!

電車内にて。3歳くらいのめちゃくちゃ可愛い女の子と、そのお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが座ってた。
線路のカーブが少なくなった頃、突然女の子が立ち上がり、
「ママ、おっぱいちょうだい!」とお母さんの前にやって来た。

母「あげない」
女児「なんで?おっぱいちょうだい!おっぱいおっぱい!」
母「もうおっぱい要らないでしょ!」
女児「ママのおっぱいおっきいの!甘いの!」
祖母「じゃあばあばの飲む?」

いきなりの提案に向かいに座ってた男子高校生( ゚Д゚ )
その様に自分が(;゚;ж;゚; )

女児「ばあばのじゃなくてママのがいい!」
祖母「じゃあ、もうお菓子食べなくていいよね?ママのおっぱいが甘くて美味しいならママのおっぱいだけ飲んだらいいじゃない」
女児「……じゃあ、ばあばのおっぱいちょうだい!」

女の子の妥協に(;゚;ж;゚; )

祖母「ごめんね、ばあば本当はおっぱい出ないの」
女児「えーばあばのおっぱい!おっぱい!」
(この時点で女児は6分間くらいおっぱいを連呼している)
母「だから、もうママもばあばもおっぱいあげないの!」
女児「えー……」

(十数秒後)
女児「じいじおっぱいちょうだい!」
近くに座ってた人々&自分;`;:゙;`(;゚;ж;゚; )モウダメ

上司に相応しいのはどちらでしょうか

①LSDをキメて何人もの女性と関係を持ち、生ませた娘を認知しない。気に入らない奴は理由もなくクビにする。
②部下にも敬語。末端の部下まで名前を記憶しており、人種に関係なく実力で評価。

どちらの方が上司にふさわしいでしょうか。

ちなみに①はジョブズ、②はフリーザ様です。

コーラに飽きちゃって

スーパーでレジに並んでいたとき。
コーラをまとめ買いしている眼鏡男子学生とその友人。

眼鏡「おまけコンプしたくて、買いまくってるんだけどさ。コーラに飽きちゃって」
友人「あー。(レジの横に陳列されていたメントスを手にとって)これ入れて飲めば?味が変わって旨いよ」
眼鏡「へー。試してみるわ(メントスを数種類カゴへ)」

後でネタばらすよね?と思いながらもwktkしてしまった。

何かを悟ったDQN

朝、駅のホームで立ったままカップラーメンをすするDQN。
まさかそのまま電車に乗り込むのかなーと見ていたら、近くの手すりに食べ残しのそれをおいていきやがった。
「おい!いいのか、これ!」と怒鳴ったら、DQN は「あぁ?」と睨み付けてきた後、何かを悟った様な表情に変わり「お、おぅ、いいよいいよ」と残飯のカップラーメンをすすめてきた。

三段論法

「恋人はサンタクロース」

「サンタクロースは実在しない」の2つから

「恋人は実在しない」を導くのが三段論法

テレパシー送った!!大丈夫!!! 

何年か前あとクリスマスまで10日位の時に
「あのさー、やっぱ今からプレゼント違うのになんないかなぁ?」
と言いだして旦那と共に硬直した。
「いや、サンタさんも忙しいからむりだよ!!」
「そんなのサンタさんに今更伝わらないよ!!」

と夫婦で説得したがいきなり合掌して白目剥いて
「んん~~~~!今サンタさんにテレパシー送った!!大丈夫!!!」(超笑顔
もうプレゼント用意してあったけど、二人で何に変更したか聞き出そうと躍起になったが
「もうサンタさんは解ってるはず!」と自信満々。
もうだめぽと思ってその日は良く眠れなかった。
次の日の朝「やっぱ変えるのやめる、夜テレパシーする!」で脱力した。
旦那が「そんなコロコロ変更する子にサンタさん来ない!」と怒ったら
涙目で「サンタさんごめんなさいテレパシー」を発信していた。

この部屋はずっと空き部屋ですよ?

友人に放置子のこと話してたら、以前友人がいた土地で仲良くなった奥さんに何度も子供を預けられ、挙句保育園の緊急連絡先?みたいなとこに名前を書かれたので
奥さんに「お断りだ」「え~困る~友達じゃん」を繰り返し、埒が明かないので保育所に直接に断りに行って、その日の内に引っ越した事があるそうな。(元々引越し魔。しかも親が不動産業なのですぐどこにでも入れるさすがにその日は荷物を倉庫?に預けてホテルに泊まったらしいけど)
保育所に怒られた奥さん、元友人宅へ凸するも留守、3日後くらいに不動産屋が出入りしてるのを見て「ちょっと!ここの人は?」と聞いたらその人は「え?この部屋はずっと(2日程)空き部屋ですよ?」
と返したら奥さんは真っ青になって帰ったそうな。

あと、親に頼まれていわくつきの物件に住んでた時は、住むことがバイトだったんでヒマを持て余して近所の放置子を迎え入れたら、皆30分としないうちに泣きだして二度と来なくなったことがあったそうな。

不要になったと言う1輪車を貰いに行った 

義兄嫁の実家が引っ越すことになっていろんなものを処分したいらしく、処理費用を浮かすために色々もらってくれと電話があった。
それで「1輪車いらない?」と聞かれたので、子供も小学校に入るので喜ぶかと思いもらいに行ったら学校とか農作業とかで使う1輪車だった。
マンション住まいなのにいるか!そんなもん!!

おかえりなさい

ケンシロウ「食事にする?お風呂にする?それとも、ア・ベ・シ?」
人生ホワタァ\(^o^)/

わくわくてかてか

宅配便の兄ちゃんが「アマゾンからお届けものでーす」なんてデカイ声で言うから
母が「何買ったの?ピラニア?」とわくわくしてる。
普通のイラスト集なんだけど言いだしにくい。

掃除は戦いだ

掃除機をかける時はどこかの部隊の軍曹になる。
(階級とか用語とか適当)
出撃の時刻が迫る。
はねっかえりの女性従軍記者にインタビューを受けながら、着々と準備を進める。(掃除機のコード伸ばしたり床を片づけたり)

― 嫌だと思ったことは?
「そりゃいつも思ってるさ。やらずにすませることができたらそうしたいね」

― あなたはなんのために戦いに行くの?
「世間は分業でね。俺たちが汚れ仕事をして国を守り、あとの連中には国を花や笑顔で飾っていてもらう。」

― ……
「お嬢さん、早いとここんな仕事はやめるんだな。あんたみたいな美人にはいつも笑っていてもらいたいもんだ」
口説き文句をさらっと言い捨てて出撃。

ひと部屋掃除するごとに「よーし、これでこの地区は制圧した」
ゴミが多かったりなかなか取れないときは
「くっ…きりがないぜ!敵さんいったい何人いやがるんだ!」
吸い込みが弱くなってフィルター掃除のランプがついたら
「軍曹!補給物資が尽きました!」
「ここは俺がなんとかする!お前らは退避しろ!」といいながらフィルターを掃除。
ガコンッとフィルターを装着して
「さっきの俺とはひと味違うぜ!パーティーの再開だ!」
こんな調子で掃除を進め、全部屋終わったら
「軍曹!全地区制圧しました!」
「よーし任務終了だ!帰ってあったかいシチューにありつこうぜ!」

これで軍曹モード終了。次は台所で女性記者モードになって
「あなたが命をかけて守っているこの国に平和が戻ったとき、あなたの隣で笑っていたいの…」
とか心でつぶやきながらシチューを作る。

シチューは今日の献立。メニューによって、軍曹が日系になったり西洋人になったりする。

夏休みの工作は

毎年プリングルスの蓋にコイン口作って貯金箱を提出した俺に隙はなかったと思ったら、卒業する寸前に先生数人がそれを愛用してたのが発覚した。

求人情報

JAでやってる派遣会社の求人に
「牛舎の掃除(ベッドメイキング)」って書いてあった。
確かに間違ってはいない。
プロフィール

ナイア

Author:ナイア
どこかで見たことのある話を載せていきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FCカウンター
FCオンライン
現在の閲覧者数:
MMOタロット占い
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR